平屋の家、じわり人気 家事の動線シンプル、維持管理費も抑制 共働き夫婦や独身女性が購入
家選びで平屋を検討する人がじわりと増えている。一定の床面積の確保には広い敷地が必要だが、住宅メーカーが設計の工夫などで対応。家事の動線がシンプルで段差がなく、維持管理費を抑えられる利点があり、従来の主な購入層だった高齢者世帯以外にも受け入れられている。 【写真】ヤマネホールディングスがショールーム内に設けた「ちいさな家」の実物大モデルハウス
注文住宅設計、施工のトータテハウジング(広島市中区)は7月、「1・5階」のスペースを設けた平屋のモデルハウスを東区にオープンした。高い天井で居間に開放感がある。ロフトやリモートワークに使えるスペースも設けている。 同社が建てる家のうち平屋は1割ほどだが、増える傾向にある。「共働き夫婦や独身女性が、マンションと比べながら購入を検討している。縦方向にスペースを確保できるのは強みになる」と売り込む。 リクルート(東京)によると、3階建てまでの居住専用の新築住宅のうち、1階建てが占める割合を示す「平屋率」の全国平均は、2022年で13・7%。中国地方は山口34・1%▽島根21・5%▽鳥取20・0%▽岡山14・9%―と4県が上回った。広島は8・5%だったが、14年時点と比べほぼ倍増している。
平屋を主力商品とする三井開発(東広島市)はウッドデッキや中庭が付いた物件、購入者の暮らしぶりを自社のインスタグラムやブログで紹介している。顧客は結婚や出産を機に家を建てる30~40代が多い。営業担当者は「広島市や福山市など都市部でも注目が集まっている」と話す。 ヤマネホールディングス(広島市南区)は平屋商品のリニューアルを進めている。16年に発売した「山根木材のちいさな家」は規格化した約40平方メートルで500万円(税別)から。広島県産の木材を使い、水回りや大きな窓を効率的に配置する。 月2、3件の問い合わせがあるが、構造上の制限や施工業者の少なさから、建築は特定の地域に限られる。年末までに構造を見直し、より幅広く販売できるようにする。資材費の高騰分も価格に転嫁するが、150万円程度までの上昇に抑える。 岡田宏隆専務は「何十年もローンに縛られず、身軽に暮らせる選択肢として示したい」としている。
中国新聞社