松下洸平「あえて“子ども扱い”しない」大人がつい見落としがちな、子どもにしてあげられる大切なこと
ドラマ『放課後カルテ』で主演を務める松下洸平さん。役どころは、小学校の保健室に“学校医”として常勤する偏屈な小児科医・牧野。 【インタビュー前編はこちら】松下洸平「子どもの悩みは大人と同じ」保健室の“学校医”役を通じて感じた、今の子どもたちが抱える悩み 原作は、日生マユさんの人気漫画『放課後カルテ』(講談社「BE・LOVE」所載)。世代を超えて多くの読者から愛される作品の、初めてのドラマ化です。 インタビュー前編では、鋭い観察眼で子どもたちの“SOS”サインを見逃さない牧野を演じる意気込みをうかがいました。後編では、ドラマ『放課後カルテ』が描く子どもたちの悩みについて、さらにお聞きします。
子どもの病の向こうにある人間関係を描いています
「医療のお話でもあり、学園ドラマ、人間ドラマでもあると思っています」 松下さんは、ドラマ『放課後カルテ』の魅力をこのように語ります。松下さんの演じる小児科医・牧野は、かつて大学病院の小児科医でした。ある事情から、小学校に“学校医”として赴任します。牧野は、保健室という場所で、児童の病と向き合うことになります。 「子どもたちの病の背景や原因には、彼らが抱える悩みがあります。また、その親にもそれぞれの苦しみがあります。このドラマは、その部分をとてもリアルに掘り下げています」 子どもも大人も、悩みの根本は、人と人との関係ではないか、と松下さん。 「病の向こうにある人間関係。ドラマには毎回、それが突き詰めて描かれています。100%、人と人がわかりあうのは難しい。でも、わかろうとする気持ちが人を、子どもを救うこともあるんじゃないでしょうか。牧野先生はそういう先生だと思いますし、そこに目を向けたドラマになるといいですね」
子どもたちが教えてくれることは、きっと病院よりも多い
『放課後カルテ』は、牧野の成長物語でもあるのではないかと思います。学校に来たばかりの牧野は、いつも仏頂面で、人間の心にはあまり興味がないように見えます。 「学校の保健室、という場所が牧野先生を徐々に変えていきます。大学病院の小児科と学校では、子どもと関わる密度が全然違うのだと思います。学校医になったことで、子どもたちと本当に長い時間接する。その子の家庭環境や親さんの思いも知ることになります」 仏頂面は治りませんが、と笑う松下さん。 「牧野先生の中で、大切にするべきものが、ふっと変わるのだと思います。子どもたちが教えてくれることは、きっと病院よりも多い。それで、牧野先生はどう成長するのか。医師というより、人間として。それまで目に入らなかった、子どもの心の中にあるものが見えるようになるといいなと思います」