「年金追加で4年払うのは構わないが…」65歳定年、韓国の50~70代が反対した条件
大韓老人会の李重根(イ・ジュングン)会長の提案通りに高齢者の年齢を75歳に引き上げ、行政安全部の公務職のように定年を65歳に引き上げる場合、地下鉄無料乗車のような福祉だけでなく、国民年金や雇用保険のような社会保障体系も変えなければならないという声が出ている。中央日報は50~70代の高齢者16人をインタビューして当事者の立場を聞いた。 代表的な改善対象が国民年金義務加入年齢だ。現在は満59歳だが、定年延長に合わせて64歳に遅らせようということだ。慶尚南道南海郡(キョンサンナムド・ナムヘグン)のファンさん(58・女性・会社員)は「定年を65歳に当然延ばすべきで、国民年金義務加入年齢も64歳に引き上げなければならない」と話す。ソウル広津区(クァンジング)のシンさん(63・女性・大学講師)も「定年が延びるならば義務加入年齢も64歳に遅らせなければならない」と話す。老後の年金を増やす最も確実な方法は加入期間を増やすことだが、こうした次元から「64歳延長」はそれなりに名分がある。 しかし財界が反対する。いまは60~64歳の労働者が年金保険料(9%)を全額出す。義務加入に変えれば会社が半分を出さなければならない。ソウル・中区(チュング)のイ・ギュテさん(60・会社員)は59歳まで保険料を払ったがいまは払っていない。イさんは「60~64歳は賃金ピーク制の適用を受けたり契約職が多く賃金が安いため会社の負担はそれほど大きくないかもしれない」と話す。64歳引き上げ案は9月に政府が出した改革案に盛り込まれている。 反対の声もある。京畿道水原市(キョンギド・スウォンシ)のキム・ジュソンさん(64・マンション警備員)は「60歳を超えて安定した職場で働く人がどれだけいるか」として反対した。国民年金受給開始年齢を67~68歳に遅らせる案は反対がもっと多かった。キム・ジュソンさんは「定年が65歳で、67~68歳から年金をもらうなら所得が途切れる」と話した。イ・ギュテさんも「68歳で年金をもらえば所得の空白ができる」と反対した。これに対しファンさんは「遅らせても良いと思う」と話した。 定年を延長すれば直面する問題がまだある。月収が300万ウォンを超えれば国民年金を最大50%削減する制度を存続するのかどうかだ。祖国革新党のキム・ソンミン議員の資料によると、6月基準で12万人が削減された。イさん(65)は月765万ウォン稼いでいるという理由で毎月半分の50万ウォン、合計1427万ウォンが減らされた。月10ウォン削られる人もいる。 京畿道城南市(ソンナムシ)のクム・ギオクさん(66・自営業)は「本人が努力して年金を受け取るものなのだから払った分だけもらわなければならない」と話す。これに対しパク・ユンソンさん(68・自営業)は削減を支持する。国民年金が約50万ウォンを超えれば基礎年金が削られるが、昨年は59万人以上が削減された。ソウル・永登浦区(ヨンドゥンポク)のイ・ソクヒさん(60・会社員)は「基礎年金を削れば月70万~80万ウォンで暮らせという話か」と反対する。釜山(プサン)のペク・ウンジュさん(62・女性・高齢者施設勤務)は「その程度は削ってもかまわない」と話す。 雇用保険も改善する余地がある。現在は65歳以降の新規就業者は雇用保険に加入できず失業手当を受けることができない。経済社会労働委員会のチャン・ウクヒ専門委員は「中高齢層は蓄積された人的資源だが、(65歳を超えても)再就職できる雰囲気を作るなら失業給与年齢を引き上げる必要がある」と話した。 祖国革新党のパク・サンヒョン補佐官は「国民年金・基礎年金の削減が超高齢時代に合わないという指摘を受けたが、定年・高齢者の基準を引き上げるには削減制度を廃止しなければならない」と話した。翰林(ハンリム)大学社会福祉学科のソク・ジェウン教授は「高齢者基準と定年が上がれば当然国民年金義務加入年齢と受給開始年齢も引き上げなければならない。ただ国民年金は世代間扶養を前提に、払った額よりも多く受け取るようになっており、年金減額は必要だ」と話した。