4人に1人は刑務所に戻ってくる…知的障がい受刑者の社会復帰 長崎刑務所の支援計画3コースとは
また出所時に行った個別面接では、入所時よりも自己肯定感が上昇し、立ち直りに向けた前向きな姿勢も見られているということです。 事業導入後の変化について、長崎刑務所の平川勝文看守長は、「モデル事業が始まった頃は、消極的な知的障がい受刑者も多かったが、回を重ねるごとに、自分のためになると感じるようになり、今は抵抗する人はほとんどいない」と話します。 また、「困った時に、誰かに頼ることができるという態度変容が見られていることは1つの成果」と評価しています。 ■出所者の声は 長崎刑務所では2024年12月3日までに延べ65人がプログラムを受講しています。出所者からは「担当の刑務官にはとてもお世話になった。相談に乗ってくれたり、話を聞いたりして親身になって対応してくれた」「花を育てる訓練に取り組んだことで、植物に対する興味がわいた。今は花の写真を撮ることが好き」「今までの自分が180度変わった」などの声が聞かれたということです。 一方で、プログラムを受講し出所したものの窃盗の罪で再入した人からは、「周囲へ助けを求められなかった」ことや「自身の障がいを受け入れられなかった」という意見が聞かれ、心理的要因へのアプローチなどが今後の課題とされています。 ■2025年6月から導入「拘禁刑」 日本では刑法の改正により、2025年6月から「拘禁刑」が導入されます。「拘禁刑」とは刑務作業の義務がある「懲役刑」と任意となっている「禁錮刑」を一本化したものです。 導入の最大の目的は、受刑者の特性に応じて刑務作業と指導・教育を柔軟に組み合わせた更生プログラムを実施して再犯予防を図ることです。 このため長崎刑務所でのモデル事業は知的障がいがある受刑者の社会復帰支援の面だけでなく、来年の拘禁刑導入に向けたモデルとしても注目されています。
長崎放送