「去年はBチームでずっと苦しんでいた」

まるでストライカーのごとくゴールを奪った森奏（４番）。写真：福冨倖希

［高校選手権１回戦］堀越（東京A）２－０ 今治東（愛媛）／12月29日／駒沢 　堀越は12月29日、選手権の初戦で今治東と相まみえ、２－０の快勝を収めた。相手が退場者を出した後半開始直後、待望の先制点を奪ったのが、攻め上がっていた２年生CB森奏だ。 【動画】ストライカー顔負け！堀越の２年生CBによる鮮烈弾 　９番を背負う先輩、髙谷遼太の落としにペナルティエリア内で反応すると、冷静なキックフェイントから右足を一振り。鮮やかにネットを揺らし、チームメイトと喜びを分かち合った。 　実は、森はつい１年前までFWを務めていた。佐藤実監督は試合後に「去年の今頃ぐらいに、ディフェンスがいなくて、後ろが足りなくて、『頼むからやってくれ』」と頼み込んだ頼んだ過去を明かしたなか、本人はコンバートの経緯をこう伝えた。 「去年、高１はフォワードをやっていて、なかなか結果が出なくて、怪我もしていて、Bチームでずっと苦しんでいました。新チームになる直前ぐらいに、監督から『後ろをやったほうがいいんじゃない？』って言われて。サイドバックからスタートしたんですけど、新チームでセンターバックがいないこともあって、『センターバックにチャレンジしてみないか』みたいな話になりました」 　最前線から最後尾へ。「何をしたらいいのか、何の声を出せばいいのか。最初はまったく分からなくて」と戸惑ったが、経験を重ねるにつれ、自信を深めていった。 「４月から公式戦が始まって、試合を積んでいくたびに成長できました。あと、東京国体の候補の練習に連れて行ってもらえて、そこで（世代別）日本代表の選手とかがいっぱいいて、刺激を得ました。メンバーには入れませんでしたが、その悔しさだったり...。それもあって、堀越でここまで成長できたかなと」 　自身の武器は「得点の嗅覚。他のディフェンダーには多分あんまりないし、嗅覚とかはまだ残っている」「フォワードに何をされたら１番嫌なのかはすごく分かる」と胸を張る182センチのホープ。さらなる成長を目ざすうえで、具体的にイメージする選手を尋ねると、FWとCBをハイレベルにこなす二刀流として昨年の選手権を沸かせ、現在は清水エスパルスで戦う森重陽介の名を挙げた。 「森重選手みたいに、前に行って後ろに行っては、負けている時とか以外はしないですけど...森重選手は選手権とかで活躍してブレイクしてプロに行ったので。自分も得点や守備面の両方で貢献していきたいです」 　堀越が誇る、ゴールへの鋭い嗅覚を持つ大型CBは、ロマンの塊だ。 取材・文●有園僚真（サッカーダイジェストWeb編集部）