【新旧比較】フォルクスワーゲン新型Tクロスは顔がすっきり、機能もアップ! 価格も...頑張った!!
輸入車SUVの登録台数ランキングにおいて、2020年から3年連続ナンバー1を達成したフォルクスワーゲンTクロスがマイナーチェンジ(以下、新型)を実施した。ここでは、マイナーチェンジ前のモデル(以下、旧型)と見比べながら、新型の進化のポイントをご紹介しよう。内外装のリフレッシュと先進運転支援システムの強化を実施 Tクロスは2020年1月に日本での販売を開始。瞬く間にヒットモデルとなり、2020年~2022年の3年連続で輸入SUV登録台数ナンバー1の座に着いた(2023年は兄貴分のT-ロックが1位で、Tクロスは2位)。高い人気を集めている理由は主に3つある。日本の道路にジャストなサイズ、万人から好感をもたれる親しみやすさいデザイン、そして手が届きやすい価格(2020年導入時は299万円~と300万円を切っていた!)だ。 新型はそうしたTクロスの強みを継承しつつ、エクステリアのお化粧直し、インテリアの装備&質感向上、先進運転支援システムの強化が行なわれている。それでは、具体的に新型の変更点を見ていこう。 エクステリア:フロントマスクはより洗練された印象に。IQライト採用もうれしい まずはエクステリアからチェック。撮影車両は、どちらも最上級グレードの「R-Line」だ。基本的には旧型のイメージを引き継いでいるが、新型はライト類やグリルが新しくなったことでフロントマスクがより洗練されたのが目を惹く。ヘッドライトは機能も進化しており、LEDマトリックスヘッドライト「IQライト」が初採用された。フロントカメラによって前方を監視し、片側22個のLEDを独立して点灯制御することにより、対向車や前方走行車の部分だけ消灯/減光させてハイビームが利用可能となる機能だ。 テールランプも新しくなった。「X」の字に輝くようになったのに加えて、ウインカーが流れるタイプ(ダイナミックターンインジケーター)に変更されている。見た目が新鮮なだけでなく、後ろのクルマからの非視認性向上も期待できそうだ。 アルミホイールのデザインも刷新された。写真は最上級グレードの「R-Line」だが、よりシャープなイメージのデザインを採用している。タイヤサイズは215/45R18で変更はない。その他のグレードも、それぞれ新デザインのアルミホイールを履く。 細かいところでは、「R-Line」に備わる専用のロゴマークのデザインも新しくなっている。フロントフェンダーの加飾もなくなり、新型はよりすっきりとした印象を受ける。 ボディカラーは、クリアブルー、グレープイエロー、キングズレッドが新たに加わった。Tクロスは女性ユーザーが半数を占めているというが、さらに女性人気が高まりそうな予感を抱かせる鮮やかな3色だ。 なお、ボディサイズには大きな変更はない。旧型が全長4115mm×全幅1760mm×全高1580mmだったのに対して、新型は全長4140mm(R-Lineのみ4135mm)×全幅1760mm×全高1580mmと、フロントバンパーのデザイン変更に伴って全長だけがわずかに拡大。新型でも水すましのようにキビキビと街中を駆け巡れる機動力はキープされている。 インテリア:センターディスプレイが独立配置に。Beatsサウンドシステムも新設定 続いて、インテリアに目を移そう。ドアを開けてまず目に飛び込んでくるのは、タブレットのように独立して設置されるようになったセンターディスプレイだ。9.2インチという画面サイズは変わらないのだが、ダッシュ埋め込みタイプだった旧型と比べると、グッと先進感が強まった印象である。 そしてメーターは、全車にデジタルタイプの「Digital Cockpit」を標準装備。先代はアナログタイプが標準で、フルデジタルタイプの「Digital Cockpit Pro」がオプションで用意されていた。ちなみに新型も、「Digital Cockpit Pro」をオプションで選択することが可能だ。 助手席前のダッシュパッドにソフト素材が採用されたのも新型のトピックのひとつ。旧型ではプラスチックだったのだが、日本のみならず世界から質感不足という声が届いていたようだ。また、センターコンソール下部に設けられたスマートフォンのワイヤレスチャージャーや、運転席/助手席シートヒーターといった、使用頻度の多い装備も新採用された。 さらに、Beatsサウンドシステムもオプションで登場。BeatsといえばAppleの子会社で、音の良さだけでなくデザイン性にも優れたヘッドフォンが人気を博しているメーカーだ。そんな注目のオーディオ・ブランドであるBeatsによる専用チューニングが施された300W・8チャンネル・6スピーカーのプレミアムサウンドシステムは、試聴してみると、低音も高音もバランスがよく響き、ボーカルもクリアに耳に届いてくれて、ドライブをより楽しいものにしてくれることが実感できた。 シートは表皮が新デザインとなった。新型はGTI系でお約束のチェック柄を彷彿とさせるパターンだ。写真は「R-Line」だが、他グレードの表皮もやはり新しいデザインになっている。 パワートレーン:最高出力&最大トルクは同値だが、燃費性能を向上 パワートレーンはどうかというと、1.0L直列3気筒ターボエンジン+7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)という形式に変更はない。最高出力116PS/5000-5500rpm、最大トルク200Nm/2000-3500rpmというスペックも新旧で同様だ。しかしながらミラーサイクル化やそれに伴う圧縮比の向上などの改良が図られており、WLTCモード燃費は旧型の16.9km/Lに対して新型は17.0km/Lに向上している。ただ、新型はエンジンカバーが省略されてしまったようで、ちょっと見た目が寂しくなってしまったのが残念!? 旧型ではオプション(一部の特別仕様車は標準)だった同一車線内全車速運転支援システム「トラベルアシスト」が、全車に標準装備された点にも注目したい。停止まで対応するACC(アダプティブクルーズコントロール)と、レーンキープアシストシステムを組み合わせたも。他メーカーでも同様の機能は普及しつつあるが、特にVWのシステムは制御が的確な印象があり、長距離ドライブでの疲労を大幅に低減してくれるに違いない。 価格:値上げは最低限。「R-Line」は装備の最適化により値下げを実施! さて、気になるのは価格。最近は物価高&円安の影響で新型車の値上げが相次いでいたが、Tクロスは手頃な価格をキープしてくれたのがうれしいポイント。旧型同様に3グレードが用意されるのだが、ベーシックグレードの「TSI Active」は329万9000円(旧型比+1万7000円)、中級グレードの「TSI Style」は359万9000円(旧型比+2万1000円)と、装備&機能の向上を考えれば納得の価格。そして上級グレードの「R-Line」は、あまりユーザーの使用頻度が高くなかった駐車支援システムなどの装備をオプションとすることで、389万9500円(旧型比-10万3000円)と、大幅なプライスダウンを実現している。 輸入SUV随一の人気モデルが、ますますその魅力を増したといっていいだろう。 フォルクスワーゲン・Tクロス TSI R-Line 全長×全幅×全高:4135mm×1760mm×1580mm ホイールベース:2550mm 車重:1260kg サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rトレーリングアーム式 エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ エンジン型式:DKR型 排気量:999cc ボア×ストローク:74.5mm×76.4mm 圧縮比:10.5 最高出力:116ps(85kW)/5000-5500rpm 最大トルク:200Nm/2000-3500rpm 過給機:ターボチャージャー 燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI) 使用燃料:無鉛プレミアム 燃料タンク容量:40L トランスミッション:7速DCT 駆動方式:FF WLTCモード燃費:17.0km/L 市街地モード 13.5km/L 郊外モード 17.2km/L 高速道路モード 19.0km/L 車両本体価格:389万5000円
MotorFan編集部