「検証・安倍政権」<安保編>集団的自衛権で閣議決定 日本版NSCや離島防衛の強化も
中期防を策定、新防衛大綱も目指す
防衛力の強化については、安倍首相は2013年12月に国家安全保障会議(日本版NSC)を設置しました。安全保障は外務省および防衛省を中心に複数の省庁にまたがるので、政府として一体性のある、機動的な対応が必要であり、この会議はそのための司令塔の役割を果たします。また、その運営のため数十名の職員を擁する国家安全保障局が設置されました。日本の安全保障のために関係大臣が協議するメカニズムは以前にも作られていましたが、このように本格的なサポート体制が設置されたのは初めてです。 日本は、中長期的な観点から日本の安全保障政策や防衛力の規模を定めた防衛計画の大綱(略して「防衛大綱」)を策定しています。安倍内閣は、2010年に定められた大綱が現在の状況に照らして不十分な点があるので、2013年に新しい防衛大綱を策定しました。 また、この計画に従い中期的な防衛力整備計画(中期防)を策定し、5年間で実施される政策や装備の調達量を定めました。具体的には、後方支援体制、情報・通信能力、ハードとソフト両面での即応性、持続性、強靭性そして連続性を重視した防衛力の整備です。 離島の防衛力を強化する必要性は以前から認識されていましたが、新中期防ではこの問題を特に重視しています。これはいわゆるグレーの事態、たとえばルールを無視した潜水艦の航行のように、大々的な攻撃ではありませんが放置すれば日本の国益が害される危険に発展する恐れのある問題であり、これまでの法律ではこのような事態に十分対応できなかったので必要な施策を講じることにしています。
防衛予算は減少傾向ストップ
防衛予算は過去数年間毎年減少してきましたが、安倍内閣は減少傾向をストップさせ、2013年に0.8%、翌年は3%それぞれ増加させました。一部の国は日本が防衛予算を増額していることをことさらに警戒していますが、増額幅はわずかであり、2014年の予算は2005年の防衛予算程度の水準に戻ったにすぎません。国際的に比較すると非常に低いと言えるでしょう。