温室効果ガス排出量「世界2位」のアメリカ…トランプ新政権発足で気候変動対策は?
■「脱炭素」への取り組みは後退? クリーンエネルギー政策で共和党地盤が“得している”面も…
トランプ次期大統領の政策転換で、アメリカはバイデン政権下で推進してきたクリーンエネルギー対策から180度転換し、温室効果ガスをまき散らすようになるのか。取材をすると、事情は複雑そうだ。 バイデン政権は気候変動対策の主軸として、2022年にインフレ削減法を施行。10年間で3900億ドル、日本円で55兆円以上の予算を割き、風力発電や太陽光発電、電気自動車のバッテリー工場への助成金に充てるとしている。 ニューヨーク・タイムズは、2022年の施行からの2年間でクリーンエネルギーに関する助成金の80%が、トランプ氏率いる共和党の選挙区に流れていると指摘する。一体どういうことなのか。 日本の商社関係者によると、太陽光発電施設が設置できるような日当たりが良い広大な土地があるのは、共和党支持者が多い「アメリカの“田舎”」だという。クリーンエネルギー推進政策で共和党の地盤が得しているという側面もあるという。 ニューヨーク・タイムズは、クリーンエネルギーへの補助金を「打ち切ることは政治的には困難だ」と指摘している。さらに、自動車メーカーも電気自動車への移行にすでに数十億ドルを投資していて、排出量規制を撤廃することは望んでいないとしている。トランプ氏は化石燃料の増産を強調するが、脱炭素への取り組みが一気に後退するかというわけでもなさそうだ。 気候変動問題は、地球の未来に直結する。温室効果ガス排出量世界2位のアメリカの影響は大きい。目先の「カネ」ではなく、人類の将来を見据えた政策決定を期待したい。