選手たちの一挙手一投足が左右する。パリオリンピックへの切符をかけた「オリンピック予選シリーズ 上海大会」スケートボード・パーク種目の見どころ
男子パーク種目
フェーズ1を終えた時点で選手間での順位に変動はあったものの、トップ5までが10万ポイント以上という勢力図は変わっておらず、正直どの選手が有利ということも言えない状態であり、トップ5であっても誰も油断することができないのが今大会。なぜならOQSでは1大会ごとでのポイントのウェイトが全体の3割近くをカバーしており、それはフェーズ1で獲得した合計ポイントに匹敵するからだ。それゆえにこの上海大会を終えて誰に出場枠獲得の可能性があるかが現実的になるだろう。 まず注目したいのはトップ12までに5名がランクインしており、壮絶な代表枠争いが繰り広げられると想定されるのがアメリカだ。フェーズ1を終えて絶好調でフェーズ2に駒を進めた現世界チャンピオンのギャビン・ボドガーが「WST Dubai」を2位で終え世界ランキング1位に浮上。続いて2位がジャガー・イートン、4位にテイト・カリューとこの3名が10万ポイント以上を獲得して現時点でパリ五輪への出場権を持っている状態だ。そこに追随する形で7位にトム・シャー、12位にリアム・ペイスという順となっている。フェーズ2には男女各最大6名が出場できるため、この国別トップ3の牙城をどう崩すかが焦点となると思われる。 そのアメリカの対抗馬として世界ランキング上位に君臨しているのはスケートボード大国のブラジルだ。3位のアウグスト・アキオをはじめ、5位にルイジ・チニ、6位にペドロ・バロスとフェーズ1を終えて良い位置に付けている。その後に続くのは17位のペドロ・キンタスで6位のバロスとは6万ポイント以上の差がある。アメリカ同様にブラジルもトップ3が良い成績を残してリードを保ち逃げ切れるかが肝となるだろう。 そして依然、世界ランキングをかき回す存在としてアメリカとブラジルを脅かす可能性があるのがオーストラリアだ。現在キーラン・ウーリーが8位、東京五輪金メダリストでキーガン・パーマーが11位、キーファー・ウィルソンが15位とトップ20にランクインしている。その中でウーリーは「WST Dubai」を4位とパフォーマンスを上げており、パーマーはまだ本調子でなさそうな辺りを見ると、本シリーズではきっと波乱を起こす良いパフォーマンスを見せてくれることだろう。 そんな強豪勢を相手に参戦する日本人選手として、もちろん忘れていけないのが、今回唯一の日本代表として出場する現在世界ランキング13位の永原悠路。最近は各大会で確実にトップ10に残っている永原だが、パリオリンピックの出場枠獲得に近づくために、この上海大会で自身過去最高成績を残しておきたい。フェーズ2というラストチャンスに駒を進めることができなかった他の日本人選手たちの思いと共に、日本人男子選手唯一のパリオリンピックへの出場を叶えられるか。