選手たちの一挙手一投足が左右する。パリオリンピックへの切符をかけた「オリンピック予選シリーズ 上海大会」スケートボード・パーク種目の見どころ
最後のパリオリンピック予選大会となる「オリンピック予選シリーズ(OQS)」の1戦目である上海大会のスケートボード・パーク種目が、中華人民共和国・上海にて2024年5月16日(木)~5月19日(日)の4日間にわたり開催される。 2022年2月にアラブ首長国連邦はシャルジャで開催された世界選手権を皮切りに、約2ヶ月前にドバイで開催された世界選手権までの約2年間で計4戦を通してオリンピック予選のフェーズ1が続いてきたが、いよいよフェーズ2として開催される今回の上海大会と来月6月に開催されるブダペスト大会の2大会の獲得ポイントを合算した上でパリオリンピック代表選手が決まる。 また本シリーズはフェーズ2に該当することから、今年2月末にドバイで開催された世界選手権後であるフェーズ1終了時の世界ランキングポイントに基づいて選出された男女各44名の選手に出場権が与えられる。ただしこれは世界ランキングの上位44選手ではなく、最大国枠やオリンピック選考基準に基づいて選考された44選手となり、限られた選手だけが出場できるパリ五輪前の最終シリーズとなる。 なお本シリーズはわずかこの2戦でオリンピック予選大会の全体のポイント配当の7割近くを占めることから、現在のランキングも1大会ごとに大きく入れ替わる可能性もあり、現在ランキング上位にいる選手たちにとっても油断できない戦いとなる。 本記事では男女の現在の世界ランキング(2024年5月9日現在)を元に、今大会の見どころを解説する。
女子パーク種目
度々の説明となるが、パリオリンピックには男女共に世界ランキング20位以上、各国からは上位3名までが出場権を獲得できる。20位以上に同国から3名以上いる場合は、繰り下げで20名になるように出場権が割り与えられる。 現在の勢力図はフェーズ1を終えた時点で、上位20位以内に3名以上がランクインしている国が日本、アメリカ、ブラジルの3カ国。その中で選手が一番多いのはアメリカで合計6名、そこに続きブラジルと日本が4名という状況だ。今回は特に気になるのは、既に3名以上がランクインしている日本、アメリカ、ブラジルの国内での出場枠争いだろう。 まず日本人選手同士の争いだが、現時点で世界ランキング1位に開心那、2位に草木ひなの、そして怪我から復調し始めた東京五輪金メダリストの四十住さくらが5位で続き、トップ5まで10万ポイント以上保有している展開。パリオリンピックでもメダルが期待されている盤石なメンバーが現在出場枠を持っておりポイントに差がある一方で、今シリーズでの好成績が期待されるのが、「X Games California 2023」の銀メダリストで「WST Dubai」で3位となった現在17位の長谷川瑞穂。そしてアジア選手権では健闘した菅原芽依が21位、国際大会での経験豊富な実力者の中村貴咲が23位で続いている。1大会で大逆転が起こりうるこのOQSでどういうパフォーマンスを見せてくるのかに注目だ。 一方で熾烈な代表枠争いを繰り広げているのがアメリカ。世界ランキング6位のミナ・ステスを筆頭に、9位にはブライス・ウェットスタイン、12位にはルビー・リリー、15位にグレイス・マーホーファー、18位にジョーディン・バラット、19位にリリアン・エリックソンという状況だ。現在は6位のステスが、9位のウェットスタインと1万7000ポイント近くの差をつけているが「WST Dubai」前の比べるとその差は縮まっている、それ以降は相変わらず約1万ポイント程度の得点差であることから、本シリーズでは順位も入れ替わると十分考えられる。誰がトップ3人に残りパリオリンピックに駒を進めるのか、はたまた他国にその国枠を譲ってしまうか、特に油断できない戦いになることは間違いない。 そしてアメリカと同じような状況で油断できないのがスケートボード大国のブラジル。新星ライカ・ベンチュラがフェーズ1を終えて世界ランキング4位から7位へと後退し、彼女に続くドーラ・ヴァレーラ、インディアラ・アスプ、イサドラ・パチェコが14位、16位、20位と残っている状態であるが、大逆転の起きうる本シリーズだからこそしっかり好成績を残して自分たちの出場枠を確実なものにしたいところだ。 引き続き本シリーズ注目なのは現在世界ランキング3位のスカイ・ブラウン(イギリス)。どんな大会でも出場すれば高確率で優勝を勝ち取ってしまう彼女は、サーフィンとスケートボードの両方でパリオリンピックの出場枠獲得を目指して参戦中。今年はまだスケートボードの国際大会に姿を見せていない彼女が今回どんなパフォーマンスを見せるのかには刮目だ。