金融庁が野村に再発防止要求、元社員逮捕「重く受け止め」-関係者
(ブルームバーグ): 野村ホールディングス(HD)傘下の野村証券元社員が強盗殺人未遂などの容疑で逮捕されたことについて、金融庁が事件が起きた原因を徹底的に究明し、短期的な再発防止策に加え、中期的な計画も策定するよう同証に求めていることが関係者への取材で分かった。
非公開情報だとして匿名で語った複数の関係者によると、金融庁は事実関係を慎重に確認した上で、原因や背景を分析するよう求めている。関係者のうちの一人は、同庁ではこの問題を重く受け止め、適宜フォローアップを行っていくと述べた。
こうした動きは、不祥事が相次ぐ野村証に金融庁が厳しい監督の目を向けていることを表している。同証は先月、元社員による国債取引の相場操縦(金融商品取引法違反)で同庁から課徴金納付命令を受けた。この不祥事を受け一部の顧客が債券取引や社債の引き受け業務から同証を除外するなどの動きがあった。
野村HDの広報担当者は「6日に発表した施策を通じ、今まで以上に社員一人ひとりの行動規範の徹底に努め、信頼回復に向けて取り組んでいく」と電子メールで回答した。野村証は元社員の逮捕を受け、当面の措置としてウェルス・マネジメント部門の社員による顧客の自宅訪問に社内の事前承認を必要とする新たなルールを導入している。
加藤勝信金融相は8日の閣議後会見で、同証がすでに公表している社員行動の監視強化策の着実な実施が重要だとし、「金融庁としても対応を注視、確認していきたい」と述べた。
共同通信は10月31日、野村証の社員だった29歳の男が7月28日、広島市の80代夫婦に夫婦宅での食事を持ちかけ、食事中に睡眠作用のある薬物を混入。意識をもうろうとさせたところで住宅に放火し、現金約2600万円を奪ったとみられるなどと報じた。
野村証によると、元社員は強盗殺人未遂と現住建造物等放火の容疑で10月30日に広島県警により逮捕された。同証の広報担当者によると、元社員は8月2日に顧客から資金を奪ったことを会社に報告し、懲戒解雇された。