外信コラム 韓国で「大統領」の名称巡り論議 戒厳令で日本に変なとばっちり
戒厳令騒ぎで弾劾され、辞職の危機にある尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が野党勢力の追い打ちで内乱罪の捜査対象になっている。大統領に内乱罪とは前代未聞で首をかしげるが、尹大統領によって戒厳令の対象として一網打尽にされかかった(?)野党勢力が今度は〝政治報復〟に乗り出しているのだ。 刑法の内乱罪では首謀者は最高刑が死刑だが、その首謀者のことは以前は漢字語で「スクェ(首魁)」だったのが、近年の用語改正で今は純韓国語の「ウドゥモリ」になっている。そこでニュースにはよく「ウドゥモリ」が登場するのだがどこかしっくりこない。 親方、親分、頭領、かしら、首領…といった感じで俗っぽいからだ。大統領逮捕を叫ぶ野党勢力はイメージダウンの効果を狙ってか、もっぱら「ウドゥモリ尹錫悦!」と言っている。ただ尹大統領は「オレについて来い」式の親分肌でかつ酒豪だったから間違いというわけでもないが。 一方、歴代大統領に不幸や悲劇が多いのでこの際、大統領の名称を変えてはどうかという話も出ている。日本が幕末の対米交渉で英語のプレジデントを「偉大な頭領=大統領」と翻訳したのは間違いで、韓国がその言葉を今も使っているのはしゃくだし、本来の司会者や議長の意味に戻してはというのだ。はて、変なとばっちり?(黒田勝弘「ソウルからヨボセヨ」)