「事件風化しないで」 大阪・医院放火3年、現場で遺族らが悼む
26人が犠牲となった大阪・北新地の心療内科クリニック放火殺人事件は17日で発生から3年となった。現場のビル前には遺族や元患者らが次々と訪れ、亡くなった人たちを悼んだ。 大阪府吹田市の会社員、松下輝希さん(30)は通院していた交際相手を亡くした。事件当日の朝、ネット交流サービス(SNS)で送られてきた「(クリニックに)行ってきます」のメッセージが最後のやり取りに。「彼女が巻き込まれ、この時期になると苦しい気持ちになる。ただ、事件が風化しないでほしい」と語り、花をたむけた。 当時通院していた滋賀県の40代女性は、死亡した西沢弘太郎院長(当時49歳)の励ましで新しい仕事に就けたと振り返った。「先生のアドバイスのおかげで仕事は順調だよと伝えたい。今も亡くなったことが信じられない」と話し、手を合わせた。西沢院長の妹で事件後に仏門に入った伸子さん(47)も読経して犠牲者らを供養した。 事件は2021年12月17日午前10時20分ごろ、大阪市北区曽根崎新地1の「西梅田こころとからだのクリニック」で起きた。雑居ビル4階にあり、休職から職場復帰を目指す「リワークプログラム」に多くの患者が参加していた。 患者だった谷本盛雄容疑者(当時61歳)は持参したガソリンとライターで放火し、西沢院長や患者ら計26人を一酸化炭素中毒死させたとされる。容疑者も煙を吸い、事件から13日後に死亡したことから不起訴となった。【林みづき、斉藤朋恵、面川美栄】