ダウン症の娘と父、ニューヨークへ タイムズスクエアに映された“成人式の写真”と家族の笑顔【広島発】
世界のダウン症者500人の大舞台
タイムズスクエアの大型ビジョンに、世界から応募のあった写真3000枚の中から選ばれた500枚が映し出される。 次々と紹介される世界各国のダウン症者たち。 写真がかわるたび、どこかで歓声が上がった。それぞれの家族が喜びを分かち合っているのだ。 このかはじっとモニターを見つめていた。 そして… 「映った!」 このかは手をたたき、飛び跳ねて喜んだ。 全米ダウン症協会のカンディ・ピカード会長は「ニューヨークの中心で家族が認められ紹介される。これほど大きな舞台はありません。訪れる人がダウン症について知るきっかけにもなります」と意義を唱える。
家族や仲間も一緒に2500人が行進
イベントはこれだけではない。ダウン症の人と一緒にセントラルパークを歩く「バディウォーク」。 これは1995年にアメリカで始まったチャリティーイベントで、2024年に30回目を迎えた。今回は約2500人が参加。企業などから4400万円を超える寄付が集まった。これらの寄付はすべてダウン症者のために使われる。 61歳の兄と参加した家族は「兄の写真がタイムズスクエアに映るのでロンドンから来ました」と言う。 親族がチームとして行進する団体もあった。頭にティアラを着けているのがダウン症のエヴァちゃん。多くの親族に囲まれている。 親族の一人はこう話す。 「私たち家族は彼女の存在から多くのことを学びました。だから私たちはここにいます。彼女を支える仲間がいることを世界に伝えるために」
新たな出会い、そして物語は続く
イベントの途中、28歳のダウン症の男性とその母親に出会った。 「私の息子、ジョーです。彼はプロのDJで自分の会社を持っています。バディウォークに参加するのは23回目よ」 「お名前は?」 「このか」 「私の息子は日本語を勉強していて、夢は日本に住むことなんです。あなたに会うのは運命だったのね。ニューヨークへようこそ。彼女はタイムズスクエアに映ったの?」 このかの写真が映ったことを伝えると、その母親はまるで自分のことのように喜んでくれた。 カンディ・ピカード会長は「ダウン症の人にはまず『こんにちは』とあいさつしてみてください。恐れなくても大丈夫です。きっとすてきな物語と人に出会えますよ」と話す。 現在「バディウォーク」は世界中に広まり、広島では2018年と2019年の過去2回、日本各地で開かれている。 次はどんな物語が待っているのだろうか。このかに出会えて良かった。 父・船田興起 (テレビ新広島)
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