ネット銀行、暗号資産、電子マネー…流行りの「デジタル遺産」は”もしもの時”に一体どうなるのか?
遺族が「スマホのロック解除」をすることは難しいと考えたほうがいい
ネット銀行やネット証券、ビットコインをはじめとする暗号資産などの普及に伴い、「デジタル遺産」への注目度が高まっている。 【画像】すごい…!自分の死後に大量のアダルトDVDを残さない「男の終活」が話題 大手電機メーカーを退職した独身の弟を、今年の春に突然亡くした神奈川県在住の女性、Aさん(50代)は次のように話す。 「弟の相続人は母ですが、私が代わりに弟のマンションを家捜しして財産を調べました。ラッキーなことにパソコンもスマホもロックがかかっていなくて、パソコンのフォルダー内にパスワードらしきものをまとめたファイルも見つかり、スマホに大手銀行のアプリが入っていたことから生活口座が判明し……と、ここまでは割とスムーズだったんです。 でも結局、パソコンとスマホから全ての金融資産を調べ上げ、利用していたいくつかのネット銀行とネット証券の残高を確認して相続の手続きを終えるまでに半年かかりました」 Aさんのケースもそうだが、一般的にデジタル遺産の対象となる金融資産は、通帳や契約書などが存在しないため、本人しか把握していないことが多いと言われる。本人が何も告げずに亡くなると、相続する立場にある家族は非常に困った事態に陥る。 相続人がデジタル遺産を見つけられなかった場合はどうなるのか、生前対策として何をしておく必要があるのか。デジタル遺産に精通する北川祥一弁護士に聞いた。 「故人が生前、相続人となる方々にデジタル遺産の存在について何も伝えていなかった場合は、探知が難しいというのがデジタル遺産の一つの特徴です。デジタル遺産となるデジタルデータは一般的にパソコンやスマートフォン、タブレットなどのデジタル機器内やオンライン上の各種アカウントにあります。 デジタル機器については、遺族はまず、ロック解除の問題に突き当たることになるかもしれません。特にスマートフォンは、セキュリティ対策が年々厳重になっています。 たとえばiPhoneは、設定によってはパスワードを10回間違えるとデータが消去されてしまう。パスワード解除やパスワードを迂回してデータ取り出しをするデジタルフォレンジックという技術もありますが、専門業者に依頼する場合は、相続人全員の同意なく可能かといった法的な問題も出てきます」