【毎日書評】徹底した仕事の効率化に効果を発揮する「3つの思考法」
『効率化の精鋭』(佐上峻作 著、朝日新聞出版)の著者は、M&A総合研究所の代表。その名からもわかるように、同社は企業の合併や買収をサポートするM&A仲介会社なのだそうです。2018年の創業から3年9ヶ月で上場を果たすなど大きな実績を残しているものの、なにか特別なことをしたわけではないのだとか。 やっていることといえば、徹底した効率化だけだというのです。DX化を極限まで推し進めて事務作業を削減したり、AIを積極的に取り入れたり、社内会議を原則的に15分としたり、経営会議を一切開かないなど、さまざまな場面を効率化したことにより、急速な成長を実現したということ。 さらに効率化は、仕事の質の向上にもつながります。仕事に余裕が生まれることで、お客さまに向き合う時間を増やすことができるからです。 効率化によって、そんな理想的な働き方も実現しているのです。 (「はじめに 『最短経路』の世代」より) また、33歳である著者の世代は、仕事に対して大きく2つの軸を持っているのだといいます。 ・必要なことだけに集中して、成果を上げたい ・プライベートも大切にして、自分にとっての幸せを追求したい (「はじめに 『最短経路』の世代」より) つまり、この2つの希望を叶える最適な手段が「徹底的な効率化」。効率化を進めれば、面倒な作業やチェックに時間と労力を奪われることなく、自分がやるべき仕事に集中して取り組めるというわけです。 きょうは、第1章「トッププレーヤーに共通する『3つの思考法』」に注目してみましょう。根底にあるのは、「業務の効率化を実現するためには『思考法』が重要」だという考え方です。
1. 時間思考 徹底的に時間を大切にする
一つ目の思考は「時間思考」です。 簡単に言えば「時間を大切にする」という考え方ですが、単純に「遅刻をするな」「サボるな」などと言うつもりはありません。時間の無駄遣いに厳しくなってほしいのです。(42ページより) 実際のところ仕事には、「上司にいわれたから」「以前からこの方法でやっているから」など、“なんとなく”習慣的に行っている業務が多いもの。 ところが、そのせいで業務量が減ることはなく、むしろ残業が増えていくことも珍しくはありません。「なんとなく」長時間労働が常態化してしまうわけで、つまりはそこに「時間思考」についての重要なポイントがあるようです。 「時間を大切にする」ためには、つねに「本当に必要か?」「この方法がベストなのか?」と疑い、「なんとなく」の時間をなくしていくことが大切だということ。 ここでのポイントは、主語を変えること。例えば、「この会議は必要なのか?」と考えても、なかなか答えは出ません。そうではなく、「この“時間”は必要なのか?」と考えてください。「会議」も「日報作成」も「経費清算」も、すべて“時間”に置き換えて考える。(44ページより) たとえば「この会議は“30分”も必要か?」「日報作成は“20分”も必要なのか?」と考えてみるわけです。日々の作業を分単位で計ることによって、そこに費やす無駄な時間を少しずつでも減らしていく。それが「時間思考」を備える人たちの日常だということです。(42ページより)