金本阪神「超変革」の死角
阪神が、ワンサイドになりかけた展開のゲームに一度は追いつきながらサヨナラ負けを喫した。25日、神宮球場でのヤクルト戦。8-8で迎えた9回、連投となったが、藤川球児(35)がマウンドへ。先頭の畠山に対して“抑えバージョン”でストレート勝負を仕掛けるが、ボールが上ずってコントロールが効かない。甘く入ったフォークを痛打されると、続く雄平との勝負を避けた。西田にバントで送られ、一死二、三塁で、代打・今浪との勝負を選び、ストレートをセンターへ運ばれた。三振狙いがわかったが、球威で押し込めずにサヨナラ犠飛。リリーフ転向後、初黒星となった。 前日も1失点しており、ストッパーへの配置転換テストもうまく運ばなかった。本来の守護神であるマルコス・マテオ(32)も、前日のゲームで1点を失うなど4試合連続で失点していて信頼感は薄れている。そして誰もいなくなった……状態なのである。 打線に関しては金本監督が、次から次へと若手野手を積極起用。登用された若手も必死に、その期待に答え苦しみながらも、これまでの阪神になかった新しい側面を見せて勢いを作っている。ファンの支持も、球団の支持もあり、データ無き無印軍団の暴れっぷりは、他球団を当惑させてきた。金本監督は、信賞必罰を徹底しながら、ぶれずに「超変革」の指針を貫いているが、その「超変革」にも死角がある。そのひとつが、この一向に解消しない中継ぎ、抑えのブルペンの整備問題だ。 「セ・リーグは、どのチームも中継ぎ、抑えが安定せずに苦しんでいるが、阪神は形を作ることができていない。マテオは元々コントロールがアバウトだったが、独特の曲がり方をしていたスライダーの軌道にも慣れられ、しかもボールにキレがなくなってくると、あの制球力ではしんどい。デブっとした腹に問題があると私は見ているのだが、うまくトレーニングでコンディションを維持するしかないだろう。 藤川にはマテオよりは制球力はあると私は見ているが、ボールが戻ってきていないので見極められている。肘の手術歴があるので、連投となると計算もできないのだろう。春季キャンプでは、藤川のボールがブルペンで一番目立っていた。厳しい言い方をするようだが、藤川が目立っているようでは、投手陣に関しては当初から課題を抱えていたということ。先発には岩貞、横山、岩崎と楽しみな若手左腕が3人出てきているが、中継ぎ、抑えに関して信用のできないピッチャーが多すぎる」 元阪神の評論家、池田親興さんも厳しい見方をしている。