サーモン陸上養殖を事業化 東邦ガス、来年40~60トン出荷へ
東邦ガスは、サーモンの陸上養殖を事業化する。都市ガス製造の原料となる液化天然ガス(LNG)の冷熱を活用した取り組みで、2019年から実証試験を実施。持続的な事業運営が可能と判断し、大型水槽などの養殖設備を5倍に増設した。今後、40~60トンのサーモンを養殖し、来年5~6月の出荷を目指す。 5日、LNG基地の知多緑浜工場(知多市)の敷地内に増設したサーモン陸上養殖設備を、報道陣に公開した。 工場では、くみ上げた海水の熱でマイナス162度のLNGを温め、ガスを気化させている。熱交換により冷えた海水は海へ放出しているが、この未利用冷熱をサーモンの養殖に活用する。LNGの冷熱で養殖水槽内の水を冷却し、水温を保つ仕組みだ。 東邦ガスでは、新規事業開発の一環でサーモン養殖に取り組んでいる。今回、800トン(5基)の大型水槽を増設。既設水槽を含めた水槽容量は1千トン(7基)に拡大した。今後、平均で重さ1・5キロ以上、体長40~50センチのサーモンを養殖し、来年出荷する方針。「知多クールサーモン」のブランド名で、協力先のニッスイ(本社東京都)の販路などを通じて地元の食品スーパーなどで販売する予定だ。
東邦ガスの事業開発部の木村徳博氏は「事業化1年目で課題もあると思うが、しっかり解決しながら事業として展開していきたい」と強調した。