バラと本を贈り合うサン・ジョルディの日、東京でも祝う
スペイン東部カタルーニャで親しい人同士で赤いバラと本を贈りあう「サン・ジョルディの日」が4月23日、東京でも祝われた。 この日、東京都千代田区のインスティトゥト・セルバンテス東京内の図書館で行われたイベントは「サン・ジョルディの日を祝って―カタルーニャと日本の文化交流」。主催は日本・カタルーニャ友好親善協会とインスティトゥト・セルバンテス東京。 イベントでは、同協会の谷喜久郎会長が、サン・ジョルディの日の美しい習慣が、約40年前、日本とカタルーニャの本格的な文化交流のきっかけとなった経緯について語った。 谷会長は、名古屋市が本拠となっている広告会社・新東通信の代表取締役を務める。谷会長のもと新東通信が中心となり、全国の書店などの協力を得て、「サン・ジョルディの日」に本と花を贈り合う習慣が日本に導入された。 谷会長はかつてカタルーニャの中心都市バルセロナを訪れた時、「地中海、抜けるような青い空」を見た感動を忘れられないという。また「町中に花屋さんと本屋さんがあって、皆が本や花を持って行き来していた」と振り返る。 「サン・ジョルディの日」の催しが日本全国で一斉に行われたのは1986年だった。谷会長は、「当時ふつうの人からは、スペイン観光の大キャンペーンをやっているように映っただろう」とも言う。
この日は、日本で長年活躍しているカタルーニャ出身のシェフであるジョセップ・バラオナさんが、カタルーニャ料理の特色や、日本料理との共通点などについて語った。 日本人の間では、バルセロナ観光やカタルーニャ料理が人気だが、これに「サン・ジョルディの日」の催しが大きく影響したことは想像に難くない。 1995年に開かれたユネスコ総会で4月23日が「世界本の日(図書・著作権の日)と制定された。この日がサン・ジョルディの日だったり、スペインの文豪ミゲル・デ・セルバンテスの命日にあたったりすることが関係しているとされる。谷会長は、この制定の背景に「日本でのサン・ジョルディの日の催しの大成功があった」と話す。