呆然と過ごした…トランプ氏勝利から一夜 現地日本人が感じた米国の変化
米国大統領選トランプ氏勝利から、一夜明けて米国に住む日本人たちはどのように受け止めているのでしょうか。 カリフォルニア州と並ぶ民主党の牙城、マサチューセッツ州の州都ボストン近郊はハーバード大学、マサチューセッツ工科大学はじめ、世界最高レベルの大学や研究機関が集まります。そこで暮らす日本人たちにも、トランプ氏勝利は「信じられない驚き」と受け止められました。
街中で叫ぶ人 テレビでは抗議集会の中継
ボストンに暮らして30年。テレビの開票速報を付けっぱなしで眠ってしまったというヴィッツェル彌生さんは、目を覚ました9日朝(米国現地時間)、テレビに映ったトランプ氏の勝利宣言を「信じられない驚き」で見た、と言います。街中で叫ぶ人を見かけたり、夜もCNNが、ニューヨーク市のあちこちの通りで5000人くらいの人々がトランプ氏に対し、抗議集会や行進の様子を中継していたり、多くの人が呆然とした思いで一日を過ごした、と感じました。 マサチューセッツ州は、民主党クリントン氏が勝ったものの、従来は民主党を選んできた州のいくつか(オハイオ、フロリダなど)が、今回共和党を選びました。産業衰退の起きた都市が含まれた州があったことなどから、既存政治への不満が強く、「トランプ氏のシンプルな、直接的な、感情的な言い回しが受けた」という見方が強いです。
ずっとクリントンだったが… 最後の1週間でトランプ氏に変わった
また、トランプ支持とは恥ずかしくて言えず、「ヒラリー」と答えながら、心の中ではトランプと決めていた人も多いのではないかとも言われています。一方で、投票権を持つボストン在住、米国滞在50年の日本女性は、「ずっと民主党を選んできたのだけれど、そしてずっとヒラリーと考えてきたけれど、最後に結局トランプを選んだ」。 投票までの最後の一週間、トランプ氏の遊説での話や態度、特に退役軍人や失業者らに対し、心から話を聞いていると感じ、「この人は人間的に優しいと思った」と言います。対してヒラリー氏は、自分の興味の所には入り込むが、大抵の人には話を聞く際に無関心な様子が、目つきや態度から感じとって、政策よりも彼女の人間性のところが最終判断になりました。
新しい不安が生まれた
ヴィッツェル彌生さんは「今回の民主党の悲劇は、サンダース氏の政策がどこまで実行可能か、若い人は応援していた。最終的にサンダース氏はヒラリーを助けに回ったが、最後まで彼を支持し、選挙に行かない若者も多かったようです」と言います。 「このトランプ大統領選出が、イギリスEU離脱も含め、世界にどのような影響を及ぼすか、それに便乗する国々がどのように現れるか心配。アメリカへの注視度は上がるでしょうが、それによって、世界のさらなる不幸や無秩序、保護主義が始まったのでは。新しい不安が生まれたような気がします」と語っています。