賭け市場でのトランプの大統領選当選確率は約60%。バイデンの撤退前後でその数字は変わらなかった。投資家が大統領選より注目すべき選挙とは?
最近の米大統領選における最大の進展は、現職大統領であるジョー・バイデンが次期大統領選レースから撤退したことです。 【詳細画像または表】 ●民主党の大統領候補になるとみられるカマラ・ハリスの持つ強みと弱みは? 彼は後継候補者としてカマラ・ハリスへの支持を表明しました。バイデンにとってこれは正しい選択でした。ダメージはすでにありますが、撤退することで彼はレガシーの一部を救うことができたと思います。 しかし、これで全体的な状況が変わるわけではありません。依然としてドナルド・トランプが大統領選に勝つ可能性が最も高いです。 ただ、ハリスが正副大統領の「チケット(組み合わせ)」のトップに立つことで、民主党は他のポジションにおいて、選挙の損失を軽減できる可能性があります。 カマラ・ハリスは、民主党が年齢に関する議論を変えることを可能にします。ハリスは59歳で、78歳のトランプよりもはるかに若いです。 ただし、カマラ・ハリスは弱い候補者です。 彼女はトランプほどのカリスマ性を持っておらず、あまり多くの成果を上げていません。また、彼女はバイデン政権が持つ重荷を背負っており、バイデンではないにもかかわらず、その影響を受けます。 彼女がまずアピールできるポイントは、当選すれば、アメリカで初の女性大統領となることです。そして、彼女は有色人種でもあるため、バラク・オバマをホワイトハウスに送り込んだような有権者たちを活気づけることができるかもしれません。 ●トランプが大統領選に勝つ確率は約60%。バイデンの大統領選撤退発表後も賭け市場での確率は変わらなかった 民主党はカマラ・ハリスの周りに団結しました。彼女が民主党の大統領候補者になるようです。一応、注目すべきは他の誰が民主党の大統領候補者として浮上するかですが、その人が誰であれ、結果は変わりそうにありません。 賭け市場の状況は以下のとおりで、カマラ・ハリスが民主党の大統領候補者になる可能性が圧倒的に高いとみられています。 バイデンが大統領選から撤退するまでに時間がかかったことによるダメージはすでにあり、大統領への野心を持つ他の民主党員は今回の選挙を見送り、次の選挙サイクルに備える可能性が高いです。 私が注目したのは、賭け市場で示されている大統領選のメインシナリオです。バイデンの大統領選撤退発表があったあとも、トランプが大統領選に勝つ確率は約60%で変わらなかったのです。 [米大統領選に関する参考記事] ●衝撃的だったトランプ暗殺未遂事件の影響は? バイデンはほぼ100%の確率で次の大統領選で負けるだろう。投資家として注目しておきたいポイントは? ●トランプ銃撃事件は分裂続きのアメリカを団結に向かわせた! アメリカが大好きなトランプは、社長やビジネスの考えはあっても独裁者にはならない ●バイデンの大統領選撤退は投資家にとって朗報。投資家が注目すべきは大統領選よりも、むしろ上下両院の選挙 そうなると、投資家が注目すべきことは何でしょうか? 大統領選よりも、むしろ注目すべきは上下両院の選挙です。 民主党が上院で過半数を維持できるなら、それが最もありそうで理想的な結果です。共和党は下院で過半数を維持する可能性が高いです。 これは、トランプが大統領になると、彼の政策が実現するとしても、それがより穏やかなものになることを意味します。 バイデンが大統領選から撤退したことは、投資家にとっても、外交政策の安定にとっても良い結果と言えるでしょう。 ●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
ポール・サイ
【関連記事】
- ■衝撃的だったトランプ暗殺未遂事件の影響は? バイデンはほぼ100%の確率で次の大統領選で負けるだろう。投資家として注目しておきたいポイントは?
- ■年間数万ドルの料金がかかるブルームバーグはもう不要!? よく使われる機能に絞り、無料~低額で利用できる優れたフィナンシャルサイト「Koyfin」とは?
- ■アップルやアマゾンの長期戦略を正しく認識できれば、短期で下げたところを自信を持って買える! 大劣勢のバイデンが大統領選から下りないのは自分のエゴ
- ■公務員の彼は40歳で100万ドル(約1億6000万円)の資産を築き、FIREを達成した! 給与は高くなくても、節約と複利の力でFIREは十分達成可能だ
- ■バフェットの「株主への手紙」だけじゃない。アマゾン、ジェフ・ベゾスの「株主への手紙」には個人投資家の参考になる知恵がいっぱい詰まっている