トランプに近づく超富豪が“究極的”に欲しいもの。ビリオネアばかりの閣僚人事
ビリオネアがもたらした圧倒的寄付
このたびの大統領選において注目されていたことの一つが、ビリオネアたちの役割だ。 アメリカでは、選挙のたびに膨大なお金が動く。ニューヨークタイムス(12月6日付)によれば、今回の選挙のために民主党・共和党が集めた資金を合計すると47億ドルに達するという(民主党側29億ドル、共和党側18億ドル)。 政治とカネの関係自体は新しい話ではないが、今回の選挙ほど少数のビリオネアたちの影響力が取りざたされた選挙は珍しかったのではないかと思う。 また目立っていたビリオネアの多くが、イーロン・マスクやピーター・ティールに代表されるような、シリコンバレーで財を成した新興超富裕層の経営者たちであることも特徴だった。2016年の選挙、2020年の選挙では、彼らの存在感はここまでではなかった。 クリントン政権で厚生長官をつとめたカリフォルニア大学教授のロバート・ライシュの11月7日のX投稿によれば、150のビリオネア一家が、このたびの大統領選のために19億ドルを使ったという(この数字は10月までのものなので、最終的にはもっと多いだろう)。 前述の47億ドルという総額の半分にやや満たない金額を、億万長者たちが出していたということだ。でも、それより驚くべきなのは、この金額が彼らの富のたった0.07%でしかないという部分だ。 10月30日にフォーブズに掲載された記事が、ビリオネアたちが両陣営にどのくらい献金しているかを分析していて興味深かった。 どちらの候補者を支持したビリオネアが多かったかというと、ハリス支持が81人、トランプ支持が52人と前者の方が多い。ただし、どちらが少数のビリオネアに「依存」していたかは別の問題だ。 FTの分析によると、トランプ側の選挙資金のおよそ3分の1がビリオネアからの献金であったのに対し、ハリス側の選挙資金のうちビリオネアからの献金は全体の6%に過ぎないということだった。10月18日のニューヨーカーの記事「How Republican Billionaires Learned to Love Trump Again(共和党のビリオネアはどのようにトランプを再び愛するようになったのか)」も、同様に、ビリオネアへのトランプの極端な依存を指摘している。
渡邊裕子