渋谷ハロウィンは「駅からの長距離迂回歩行」が地獄だった。2024年の主役はコスプレをした“訪日外国人”
外国人コスプレイヤーとTikTokライバー
さて、渋ハロといえばコスプレイヤーである。 国際的には、渋ハロは(渋谷区の意向はどうあれ)「大規模コスプレイベント」として認識されている。21時を過ぎると、コスプレをした外国人が一気に多くなってきた。 去年もそうだったが、やはり2020年代の渋ハロの主役は外国人である。とはいえ、日本人コスプレイヤーが全くいないというわけでもない。ライブ配信を行いながら一方通行路を歩く日本人TikTokライバーの姿もあった。 動画配信者と言えば、これまでは「YouTuber」の存在が大きかった。しかし、今年はYouTuberよりもTikTokライバーの存在感のほうが明らかに強かった。スマホで手軽に視聴できる縦型配信は、より多くの視聴者を集めることができるからだ(ちなみに、YouTubeでも縦型ライブ配信が可能になった)。 渋ハロはこうした「プラットフォームの移り変わり」も観察することができるが、一方で配信活動とは縁のない「日本人のカジュアルコスプレイヤー」は例年よりも少なくなっているようだ。
今年の渋ハロは「期待外れのイベント」か
2015年頃の渋ハロの中核は、首都圏を住まいとする日本人コスプレイヤーだった。 彼らの華やかなコスプレ衣装が、渋ハロを世界唯一の祭典にしたことは間違いない。だが、渋ハロが年々持ち上がりを見せると「単に羽目を外したい者」が首都圏の外から来るようになった。それが問題として顕著化したのが、2018年である。路上で軽トラックを横転させ、逮捕者が出た年の渋ハロだ。 そこから渋ハロにはネガティブなイメージがついてしまい、また自治体や地元商店街も「渋ハロには来ないで」と呼びかけた。そうした背景を知っている日本人コスプレイヤーは、渋ハロを敬遠するようになったのだ。 代わりにやって来たのが、コスプレをした外国人である。 しかし、多くの外国人にとって2024年の渋ハロは「期待外れのイベント」だったのではないか。 世界的に有名なランドマークであるハチ公像へ行くには大幅な迂回路を歩かねばならず、そもそもハチ公像の周囲には覆いがかけられている。路上で立ち止まってはしゃぐことも、期待していた「路上呑み」もできない。現地で味わった失望感はSNS等で拡散され、来年以降の来日を思案している人たちに何かしらの影響を与えるはずだ。 そうした流れから、渋ハロはいずれ自然解消する道をたどるのではないかと筆者は推測している。代わりに盛り上がるのは、自治体と地元商店街からのお墨付きをもらった池袋ハロウィンコスプレフェスのようなイベントではないか。 <取材・文・撮影/澤田真一> 【澤田真一】 ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』
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