ハリス氏 V.S トランプ氏、注目の「環境問題」については真逆のスタンスか...。今後の気候問題が"大きく揺れる"一戦に
カマラ・ハリス氏のスタンスを要約すると・・・
・気候変動に対処する政策を長年、支持してきた。 ・米史上最大の連邦政府支出額となるインフレ抑止法を支持。 ・2019年の大統領選で、カーボンニュートラル経済発展のために10兆ドルの拠出を提案。 ・フラッキングに関するスタンスを変更。大統領に選出されたら、採取を禁止しないと誓う。 ・カリフォルニア州検事総長時代とサンフランシスコ地区検事総長だった時代に環境法に違反した企業を調査し、起訴した。 ・主要環境団体や科学者、専門家たちからの支持を獲得している。
ドナルド・トランプ氏
一方、トランプ氏は人為的な地球温暖化説を繰り返し否定。世界中の専門家や科学者も長年、同意していることだとしている。気候変動は「単なるでっちあげ」と何度も主張しており、2023年には「海面は今後400年のうちに100分の1インチ(約0.25m m)下がる」と間違った主張をしたことも問題視されたが、「それは今我々が抱えている問題ではない。我々の問題は”核の温暖化だ”」と加えた。(アメリカ海洋大気庁は世界の海面は1年に8分の1インチという憂慮すべき上昇を続けており、アメリカ沿岸部のコミュニティーは特に2020年~2050年の間に10~12インチ上昇する見通しだと報告している) その後トランプ氏は、IRAの一部を撤回。今年の選挙に勝利し大統領になった場合には、気候変動に関する法律に仕分けられた資金のうち未使用分を取り戻すと公約している。どのプログラムをターゲットにしているのかは特定していないものの、共和党議員たちに混じって増税や支出に関する法律を批判。だが、同じ共和党の下院議員たちの中にはクリーンエネルギー税額控除を撤廃しないよう強く要請する人もいた。 大統領時代のトランプ氏は気候変動に関する主要な政策を取り止め、水質汚染や公害、有害物質、二酸化炭素排出量などに関わる100以上の環境規制を撤廃した。 また、今世紀末までに地球の温暖化を1.5℃度までに止めることを目標に、2016年に世界各国首脳が採択した国際条約であるパリ協定から脱退。 「パリ協定は、政府が他国だけの排他的なメリットのためにアメリカ合衆国のデメリットになる条約に加入した直近の例で、私が愛するアメリカ人労働者と納税者に、失業や低賃金、工場閉鎖、大幅に減少した経済的生産という形でその犠牲を払わせた」と、当時声明を出した。 2018年のAP通信社の分析によると、トランプ氏が環境保護庁に任命した人物の約半数は、以前に公害や有害廃棄物処理場を作ったとして批判を集めた評判のある産業と関係があり、環境保護庁の職員の3分の1は、化学メーカーか化石燃料メーカーのロビーストか弁護士として働いていた人であったことが判明している。 またトランプ氏は、気候変動に懐疑的な主張をしてきた弁護士のスコット・プルーイットを環境保護庁長官に任命。しかしその後プルーイットが自身のスキャンダルのため辞職すると、トランプ氏は内務長官で同じく気候変動に懐疑的なライアン・ジンキを後任に任命した。後に、ジンキも汚職スキャンダルで辞職...。元石油とガスのロビーイスト、デイヴィッド・バーンハートを任命した。
ドナルド・トランプ氏のスタンスを要約すると・・・
・気候変動に関連したリスクや脅威を否定。 ・インフレ抑制法の一部を撤回したいが、どの法律をターゲットにしているのかはまだ特定していない。 ・大統領時代に主要な気候及び環境に関する政策を撤廃。同じく大統領時代にパリ協定から脱退。 ・環境保護庁の職員を、気候変動は人間の行動によって加速されてきたという科学的コンセンサスに懐疑的な意見を公言する化石燃料のロビーイストや人物で固めている。 両候補者の意見はほぼ対局しているといっても過言ではない。そのため、最終的にどちらがアメリカ大統領に選ばれるかによって、今後のアメリカ、そして世界の地球温暖化問題は大きく左右されることとなるだろう。
From Harper's BAZAAR.com