ハリス氏 V.S トランプ氏、注目の「環境問題」については真逆のスタンスか...。今後の気候問題が"大きく揺れる"一戦に
ここ数年、「観測史上最高の~...」という言葉をあなたは何回耳にしただろうか。酷暑や豪雨による記録は日々更新され、気候に起因する壊滅的な自然災害が発生している現在、当然のことながら気候変動問題は2024年米大統領選挙の重要なポイントになっている。この問題に関して、カマラ・ハリス氏とドナルド・トランプ氏両候補のスタンスはどうなっているのだろう? 【写真】ミシェル・オバマが「ヒョウ柄スーツ」で登場!カマラ・ハリス氏支持を表明か 他の論点においても言えることだが、気候変動に関してもやはり、両候補の主張は全く異なっている。今回は改めて、両候補者の主張を整理してみよう。
カマラ・ハリス氏
ハリス氏は公職に就いて以来、気候変動は「現在進行形の脅威」であるという信念を持ち続け、環境政策を重要なアジェンダの一つと位置付けている。 ハリス氏はバイデン政権で副大統領在任中の2022年、クリーンエネルギー投資とグリーンハウスガス削減のために3690億ドルを確約する画期的な気候法、インフレ抑制法(IRA)を実現させ、アメリカ史上最も高額の連邦政府支出となった。(IRA施行により、グリーンハウスガス放出量は2035年までに2005年レベルより43~48%削減される可能性があると専門家は見積もっている) 続いてハリス氏は副大統領という立場を生かしてIRAのメリットを有権者に積極的に宣伝。環境保護庁のグリーンハウス・ガス削減基金に200億ドルが使われるよう主張した。ドバイで開催された気候変動会議COP28では世界各国の首脳にもクリーンエネルギーと気候変動イニシアチブを加速させるよう促している。 2019年の大統領選では、2045年までにカーボンニュートラルな経済(人間の二酸化炭素排出量から植物の二酸化炭素吸収量を引いた数字をゼロにすること)に何と10兆ドルを拠出する野心的な気候変動プランを提案。これには、2030年までに100%カーボンニュートラルな電力を達成することや2035年までに100%車からの排出をゼロにすることなど、各セクターをターゲットとして毎年の目標基準を定めていた。 ハリス氏は以前、水質汚染や公害を引き起こす可能性のあるフラッキング(石油・天然ガス開発)には反対を主張していたが、民主党大統領候補となった2024年の選挙では、天然ガスの主要生産地であるペンシルバニア州など主要の激戦州での有権者を考慮してか、主張を変えている。 「私たちはアメリカ合衆国とひいては世界のために、例えばグリーンハウスガス排出量削減の基準をいつ頃までに達成すべきかについての目標を定めました。その価値観は変わっていません。ですが、私たちが成長し、フラッキングを禁止しなくても盛況なクリーンエネルギー経済を拡大することができるのを私は見てきました」と2024年8月、CNNのインタビューで述べている。 彼女は2011年~2017年にカリフォルニア州検事総長を務めた時代にも気候変動政策擁護を続けた。当時、気候変動に関連したリスクについて人々を欺いたとしてエクソンモービル社を調査させ、2015年にカリフォルニア州沿岸に被害を及ぼした石油流出事故でプレイン・オールアメリカン・パイプラインを起訴。ディーゼルガス排出試験で不正を働いたとしてフォルクスワーゲン社から8600万ドルの示談金を勝ち取った。サンフランシスコ地区検事総長だった2004年~2011年には、環境裁判部を立ち上げ、危険廃棄物法に違反した企業を起訴した。 そしてハリス氏は、グリーン・ニューディール・ネットワークやサンライズ・ムーブメントなど主要環境団体とともに、物理、化学、経済、医学分野で働く80人のノーベル賞受賞者からの支持も受けている。