〈どうなる?私たちの歯〉」「昔は儲けられたのが今は…」日本歯科技工士会会長が独白150分「歯科技工士不足は深刻化する一方」でも「人口に対して適正数が何人なのかはわからない」
「技工士の仕事はゼロからスタートするものではない」
――技工士から「保険点数を直接請求したい」という声は上がらないのでしょうか? 今は、患者さんの口に入る入れ歯や差し歯の全責任を歯科医師が負っています。技工士は歯科医から委託された技工物を作っています。それを直接請求するようになれば、われわれにも製作者としての責任が出てきますよね。 そもそもわれわれは、歯科医師から入れ歯の型や歯を形成した模型を預かって作るわけですが、型そのものがしっかり取れていなければ、世界一の技術をもったと言われる日本の技工士が作ってもきっちりとは入りません。 技工士の仕事はゼロからスタートするものではないんですよ。例えば、陶芸家が土を探し、こねて焼いて最初からやるのとは違うんです。我々の仕事のスタートである、患者さんから直接型をとるのは歯科医です。 そこに製作したものに対し責任が発生するとしたら、われわれは怖くて仕事を受けられなくなってしまうことも出てくると思います。 歯科技工士と歯科医師、歯科衛生士が力を合わせたチーム医療により、患者さんにとって満足のいく入れ歯、差し歯を提供していきたいと思います。 ――技工士の多くが「ここを実現できたら」と要望されているのは、やはり7対3(技工料の取り分が技工士7割に対して、歯科医が3割)の部分でしょうか。 確かにそのような意見もあります。「概ね7対3」というのは1988年に大臣告示されたわけですが、「これを法制化して、歯科医にしっかり7割を歯科技工所に支払うようにしてくれ」というところじゃないでしょうか。 ただ、なぜ配分が7対3かというと、概ね7割が製作技工で、概ね3割が管理だからという決めごとなんです。診療報酬では、どこからどこまでの範囲というような細かな杭打ちが明記されていないのが現実です。これらを含め、難しい問題がたくさんあるから、36年たった今日でもこの問題が出てくるのだと思います。 ※「集英社オンライン」では、今回の記事に関連した情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: shueisha.online.news@gmail.com X(Twitter) @shuon_news 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
集英社オンライン編集部ニュース班
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