仏は「大規模テロの時代」に突入? 南部ニースでトラック暴走80人以上死亡
フランス南部のリゾート地ニースで現地時間14日夜、フランスの建国を記念した「パリ祭」のイベントで花火を見ていた市民や観光客に、猛スピードでトラックが突っ込み、多くの死傷者を出す事件が発生した。トラックは多くの見物客をはねながら走行を続け、最初に見物客をはねた場所から約2キロ進んだのち、運転手が警察によって射殺された。フランスのオランド大統領はパリから緊急のテレビ演説を行い、テロの可能性が非常に高いことを示唆した。2015年初頭から、フランスでは大規模なテロが続いているが、なぜ今回は南部のニースが標的となったのだろうか。現在までに分かっている情報をまとめた。(ジャーナリスト・仲野博文) 【写真】仏紙襲撃テロに見る「表現の自由」と「宗教の価値観」尊重のバランス
7月14日は革命記念日 花火の見物客らが犠牲に
フランスでは毎年7月14日が共和国成立を祝うパリ祭で、パリだけではなく全土で様々な祝賀行事が行われる。パリ市内では軍事パレードが行われ、フランス各地でも共和国成立を祝って花火大会などが行われた。事件現場となったニース市内の海岸沿いにあるプロムナードにも、花火を見るために多くの見物客が集まっていた。 現地時間の14日午後10時半ごろ、プロムナードを走行中の1台のトラックがスピードを上げて見物客に突っ込んだ。トラックは速度を落とさないまま(目撃者の情報では、時速60~70キロくらいのスピードだったという)、花火の見物客を次々とはね、そのまま約2キロにわたって走行を続けた。トラックは見物客が密集したエリアでジグザグ運転を繰り返し、多くの見物客が巻き込まれる形となった。現時点で80人以上が死亡し、負傷者は100人を突破。そのうち18人が重篤だという。現場周辺には負傷者を搬送するためにヘリが発着し、事件現場近くにある有名ホテル「ホテル・ネグレスコ」のロビーにも負傷者が運ばれ、野戦病院のようにロビーで手当てを受ける様子がSNSによって伝えられている。 事件は暴走を止めようとした警察とトラック運転手との間で銃撃戦に発展。運転手は警察によって射殺された。複数の仏メディアは警察関係者の話として、トラックから数丁の銃(アサルトライフルだったという情報もある)と手榴弾が発見されたと報じている。また、英ガーディアン紙は捜査関係者の話として、トラックの運転手が見物客をはねながら、同時に見物客に向けて発砲していたと伝えている。捜査当局は、死亡した男性に共犯者がいなかったかについても調べている。