「庶民にとって有利な制度」を活用しそびれる結果に、「新NISAに向いていない人」に共通する残念な特徴
■新NISAは庶民にとって有利な制度 岸田文雄首相は就任時、「新しい資本主義」というアドバルーンを打ち上げました。その中には、金融所得課税の引き上げが明記されていました。しかし、各方面からの反対にあい、すぐに引っ込めてしまったのです。 しかし、新NISAがスタートする直前、岸田首相は「経済・市場への影響を考えながら議論を続けている」と述べました。決して、忘れたわけではなかったのです。 実際、新NISAは、金融所得課税の引き上げとトレードオフなのだと思います。1800万円までは非課税にするので、その代わり上限を超えたぶんは金融所得課税を上げるぞ、ということなのでしょう。
そう遠くない時期に、税率が現在の20%から25%かそれ以上に上がることは既定路線だと思っておいたほうがいいでしょう。 このように、新NISAはむしろ庶民の武器になると思います。 1800万円までは非課税で、しかも株価は上を目指している。こんなチャンスはめったにありません。 私は、政府のやっていることがすべて正しいとはまったく思っていませんが、新NISAに関しては、すばらしい制度だと思っています。陰謀論を真に受けるのではなく、ぜひご自身でメリット、デメリットを考えてみてください。
インデックスファンドの積み立ては決して万能ではありませんし、唯一の正解でもありません。そこで私がおすすめするのが「二刀流」戦略です。 成長投資枠(上限1200万円)をいっぱいまで使って日本の個別株を売買し、つみたて投資枠(600万円)でインデックスファンドを積み立てる、という戦略です。 言い換えるなら、「コア・サテライト戦略」の新NISAバージョンといってもいいでしょう。 ※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください
■目指すのは「ミドルリスク・ミドルリターン」の運用 コア・サテライト戦略とは、保有する資産を「コア」と「サテライト」に分けて運用するポートフォリオ戦略で、投資家の間ではよく知られている基本中の基本ともいえる手法です。 コア(中核)は、安定したリターンが期待できる長期分散投資での運用のこと。ここでは、つみたて投資枠を使った運用を指します。 サテライト(衛星)は、ある程度大きな値動きがあり、タイミングを見て売買する運用のこと。ここでは、成長投資枠を使った運用を指します。
コアとサテライト、つまり「守りの運用」と「攻めの運用」を同時に行うことで、リスクとリターンのバランスをコントロールすることができます。 ハイリスク・ハイリターンでもなく、ローリスク・ローリターンでもない、ミドルリスク・ミドルリターンの運用が、この戦略をとることで実現するのです。
上岡 正明 :経営者・個人投資家