1~3月の銅スクラップ需要、現状維持も底打ち感
2024年1月以降の銅スクラップ需要は現状維持となる見込みだが、底打ち感が出てきた。伸銅メーカーと原料問屋間で行った1~3月期の再生原料に対する数量契約交渉は前四半期比横ばい中心でまとまった。黄銅棒メーカーや銅管メーカーは前四半期に購入量を減らしたため需要は低位のままではあるが、今回の交渉で下げ止まるとともに問屋側からは4月以降に需要回復を期待する声が出始めた。 伸銅メーカーの生産は底を打ったとみられる。日本伸銅協会がこのほど発表した11月の伸銅品生産量は前年同月比10・7%減の5万6580トンと、23カ月連続で前年同月を下回った。しかし減少幅は2割ほど下回っていた春夏と比べ縮小している。先行きは自動車向けを中心に堅調と見通される。 来年1月以降の銅スクラップ需給は低位安定との見方が市中では多い。伸銅メーカー需要の変化が乏しい上、生産活動が活発となるまでは発生量も復調せず、低水準が続くとみられる。加えて、例年1月は工場をはじめ稼働日数が少ないため、発生は乏しい時期に当たる。 四半期の数量契約は横ばいとなったが、黄銅棒メーカー向けでスポット契約の可能性はある。黄銅棒メーカーと交渉に当たった問屋筋は、メーカーによって濃淡があるとした上で、「具体的な時期は不透明だが、原料在庫次第で、早ければ四半期内にスポット手配されることもありそうだ」と話した。 来年、伸銅メーカーの需要が復調した際に懸念されるのは輸出されている品種の需給タイト化だ。銅スクラップ輸出は今年、月間3万トン台中心に推移しており、今後も中国からの引き合いは堅調と見通されている。国内需要の回復量次第だが、急増した際には集荷競争に向かう品種も出てくるとみられる。