黄色の絶景あちこちに 彩りの秋クライマックス 丹波篠山市内でイチョウ見頃
秋もあっという間に終わりを告げようとしている。兵庫県丹波篠山市内では各地でイチョウが見頃を迎えている。圧倒される絶景から身近なスポットの滋味あふれる光景まで。黄色い葉たちが彩りの季節のクライマックスを飾っている。 【写真】黄色く色づいた、ラッパイチョウの漏斗状の葉 ■大イチョウ、陽光に鮮やか 弘誓寺の境内 陽光に輝くあたたかな黄色。冷たい秋風を受けた葉が、まるで参拝客を出迎えるようにチリチリと音を鳴らして揺れていた。 「宇土(うど)の観音さん」と呼び親しまれる丹波篠山市宇土の弘誓寺(ぐぜいじ)で、境内にたたずむ大イチョウが見頃を迎えた。樹齢約500年とも推定される古木。隣の多宝塔よりも大きく育った樹高は約25メートルにも上る。 11月終盤から黄色く染まり始めた。今年は色づきにむらがあるというが、真下からでも、集落の外から見てもその存在感は圧倒的。太陽に照らされると鮮やかさが際立ち、参拝客たちは反り返るようにして見上げて紅葉を楽しんでいた。 能勢隆道住職は「おかげさまでたくさんの方に来ていただけている。不安定な世の中だが、大イチョウを見て心を休め、安寧への思いを仏様に届けてもらえたら」と話している。 同寺TEL079・594・0039(秋山亮太) ■幸運呼ぶラッパイチョウ 医王寺の県天然記念物 はらはらとイチョウの黄葉が舞い落ちる。丹波篠山市北の医王寺。まだ緑が残る葉もあるが、秋色に装いをかえた葉が、地表をイエローに染めていく。小さな境内にそびえるのは、全国的にも珍しい「ラッパイチョウ」の木だ。 落ち葉に目を凝らすと、通常の扇形の葉やギンナンに交じって、「角笛」にも似た細長い漏斗(ろうと)状の葉があることに気付く。 ラッパイチョウはイチョウの変異種で、ラッパ葉は原始的な葉と考えられている。市によれば、木は幹回り約2・3メートル。県天然記念物に指定されている。幸運を呼ぶともされるラッパ葉は、全体の1割ほどもあり、出現率が高く、植物学的に貴重な樹木という。 四つ葉のクローバーより簡単に見つけられ、市観光協会のスタッフは「お子さんと一緒に探してみては」とPRしている。(堀井正純)