小6長男に叫びながら続けた心臓マッサージ「戻ってきて」…事故で亡くした母の“命の講演会”
元気だった我が子が、突然の交通事故で帰らぬ人となる。その悲しみを抱えながら命の講演を続ける母親がいます。 【写真を見る】小6長男に叫びながら続けた心臓マッサージ「戻ってきて」…事故で亡くした母の“命の講演会” 2002年に当時小学6年生だった長男を交通事故で亡くした福井被害者支援センターの宮地美貴子さんの講演会が、2023年11月に石川県野々市市の中学校で開かれました。まもなく学校が始まるこの時期「命の大切さ」を考えます。 ■長男・貴弘くんについて 小さい頃からよく笑いよく食べ、よく遊ぶ元気な男の子でした。いつも家族の中心的な存在で大きな病気をすることもなく、すくすくと成長しました。それから明るい性格でいつもたくさんの友達に囲まれていました。少しおっちょこちょいな所もあって、ある日、ランドセル一式をすべて家に忘れてしまって、手ぶらで小学校に行ってしまった時がありました。人を楽しませることも大好きでカツラをかぶって女の子の格好をして踊ったりするなど、みんなを笑わせるそんな明るい子どもでした。 私の家というのは、子どもたちの笑い声と走り回る足音と、そして私の子どもたちを叱る声とで、毎日が本当ににぎやかでした。当然ながら、その後にその幸せな日々が一瞬で奪われてしまうような日が来ると言うことをわたしは想像すらしていませんでした。 ■最期の会話は「さりげない言葉」…事故当日 2002年9月18日のことです。 当時、小学6年生だった貴弘は、学校から帰るとすぐに「算数のノートを買いに行くからお金をちょうだい」と私にいいました。私は「だめだよ、ちゃんと着替えてからいきなさい」と言うと「うん分かった」といって2階の自分の部屋へ行き、着替えてから降りてきました。貴弘に1000円札を一枚渡して、弟の分も一緒に買ってくるようにといいました。貴弘は「おつりはもらっておくからね」と言ってうれしそうに笑いながら元気に自転車に乗って出かけていきました。そんな貴弘の後ろ姿に、私は「ちゃんとおつりは返しなさいよ」と言って、送り出しました。