「クマに荒らされた!」高級車の内装被害、実は着ぐるみの自作自演
仲間同士で偽装襲撃、同じ住宅地で3件続発
3つの事件の舞台となったのは、住宅地の一角にある同じ地点だ。捜査当局が入手した3本の動画には、いずれも“クマ”が車内に侵入して這い回る様子が記録されていた。ロールスロイス・ゴーストとメルセデスの2車種に関して申請された保険については、すでに保険金が支払われていた。容疑者らは同じグレンデール市に住む仲間同士だったという。 捜査当局は一連の事件を、「オペレーション・ベアクロー(熊の爪作戦)」と命名し調査していた。米CBSニュースによると、保険会社に提出された写真には、車の座席やドアパネルに付けられた表面的な引っかき傷が写っていたという。
「州内で茶色のクマは不自然」専門家が指摘
ニューヨーク・タイムズ紙によると、カリフォルニア州魚類野生生物局のティム・デイリー広報官は、動画に映るクマが不自然な動きをしていると指摘している。「着ぐるみがちゃんと体にフィットしていない」ほか、車内の傷跡や残された痕跡は、実際にクマが残すものとは異なると説明している。「本物のクマなら、もっと大きな荒らし跡を残すはずだ」という。 さらにデイリー氏は、カリフォルニア州では約100年前から茶色いクマは生息していないと補足。州内で野生のクマといえば、個体によっては濃い茶色や薄茶色の個体もいるものの、ほとんどは黒色の種だと述べている。 カリフォルニア州保険局の広報担当者は、クマの襲撃を装った保険金詐欺は前例がないとしている。同局はこれまでにも「突飛な手口」の詐欺を摘発してきたが、今回の事件は異色の部類に入るとしている。なお、容疑者4人のうち3人の男性は勾留が継続中だが、女性1人は5万ドルの保釈金を支払い、釈放されたことが分かっている。 野生のクマの生態について不勉強だった容疑者らによる、ずさんな保険金詐欺事件となった。
文:青葉やまと