老いや死などに向き合う岡山の劇団が新作を上演へ…演劇に秘めた思いは【岡山】
岡山放送
老いや死、認知症などをテーマにする岡山の劇団「OiBokkeShi」が、8月24日から岡山県奈義町で新作を上演します。舞台には、病気や障害がある人も出演。劇団が目指すものとは。 ■練習の1コマ 「それはもしかしたら、あなたにも原因があるんじゃないですか」 (♪ドン) 「勝手に知ったような口たたかないでください」 岡山県奈義町を拠点に活動する劇団「OiBokkeShi」。24日から2日間町内で行われる新作公演に向け、熱心な稽古が続いています。 ■菅原直樹さんの演技指導 「よーい」 (♪パン) 「松村さんもお母さんの無事を祈ってるそうです」 劇団の主宰菅原直樹さんは、脚本を手掛け監督を務めています。菅原さんは介護福祉 士の資格を持ち、自身の経験から老いや認知症をテーマした数々の演劇を発表してきました。劇団の立ち上げから今年で10年、節目を迎えた新作のタイトルは、「恋はみずいろ」。 (菅原直樹さん) 「老人ホームを舞台にした作品、そこでいろんな人たちが出会って家族の在り方だったり、幸せとは何かということをお客さんも見ながら考えられるような作品になるかな」 菅原さんは2022年から、プロの俳優だけでなく、病気や障害がある人やその家族に舞台に立ってもらう挑戦をしています。 演技経験の全くない認知症患者とその介護をする人。脳性まひと戦う女性。コミュニケーションが苦手だという青年など。出演者の人生や背景、得意なことを台本に落とし込み、セリフは、その人が普段よく話す言葉などを使います。社会で生きづらさを抱える人たちが、舞台の上では、ありのままの姿で輝きます。 (中島清廉くん) 「自分らしさを出せるというよりも、その役に入っちゃってる自然と」 (西春華さん) 「せりふが多くて大変だけど、うまく上手に演じられたらいい」 「ずっとなりたかったものが演劇になってできるので楽しい」 今回の舞台、「恋はみずいろ」に出演する内田一也さんと、妻の京子さん。一也さんは9年前脳出血で倒れ、高次脳機能障害と失語症の後遺症が残っています。 (内田京子さん) 「絶望だった最初は、まったくしゃべれないコミュニケーションとれないそれがここまでの回復」 (内田一也さん) 「何で?」 (京子さん) 「何でも(笑)」 (和也さん) 「楽しいな」 「見てもらいたいな」 (内田京子さん) 「お芝居通して自分の人生に向き合って、自分の周りの人と向き合ってもらえたら、考えるきっかけになってもらえたらな」 (和也さん) 「愛は勝つ」 和也さんが演じるのは、脳梗塞を患った老人ホームの入所者!妻の京子さんは、母親を介護する女性を演じます。 (菅原直樹さん) 「それぞれの人生経験をうまく生かしながら、あとそれぞれの得意なことを生かしながらその人らしさが出る表現をしてもらえたらな」 多様性を認め合い・・・、計り知れない可能性を秘めた舞台「恋はみずいろ」。8月24日から2日間、奈義町の奈義中学校で上演されます。
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