豊作だった夏ドラマ…最も面白かった作品は? 振り返り座談会(1)『海のはじまり』の足りない部分を描いた隠れた名作は?
「『あの子の子ども』の方がむしろ正解例」
―――作品そのものに対して、気になった部分をお聞きしても良いですか。 苫「今回、ステップファミリーを描いた作品が多かった中で、『海の始まり』は、最後は周囲のみんなで見守っていくという話ではあったけど、血のつながりに落ち着いたという意味では、保守的な結末に見えます。それが生方さんにとってどういう意図だったのかが気になるところです。逆に、全く血の繋がらない人だったらどうするのか、津野が主人公のパターンもぜひ見てみたいです」 ―――脚本の生方さんは「がん検診に行ってほしい」「避妊具の避妊率は100%ではない」ということ明確に伝えたいと、ご自身の連載で発言されていました。作品のテーマについてはどう受け取られましたか? 苫「避妊をしていても妊娠するというテーマに関していうならば、『あの子の子ども』(カンテレ・フジテレビ系)の方がむしろ正解例を出したと思っています」 あまの「確かに、そのテーマで丁寧に分かりやすく明確に、より教材的に描いたのが『あの子のこども』だったと思います。妊娠したことについて相手との対話がしっかり描かれていましたし、結果的に『海のはじまり』で足りないなと感じた部分を補完したような面もありました」 まっつ「当初のテーマとの齟齬が生まれているところはあったかもしれません。だけど、それが作品の質を下げているかというとそんなことは全く無いです。『海のはじまり』は間違いなく傑作として語り継がれるべき作品ですし、元助産師である生方さんにしか書けない作品だと思います」 (文・編集部) 【出席者プロフィール:苫とり子】 1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。 【出席者プロフィール:あまのさき】 アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。 【出席者プロフィール:まっつ】 1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
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