Z世代は「どう見られているか」を強く気にする?仕事に我慢が伴うことは30代・40代と同程度に理解?データで見た<Z世代と他世代の違い>
◆組織への信頼低下 会社・組織との関係に関する価値観についても30代・40代との違いが出ていた部分である(図表2)。 「何か違う」と思ったら会社を辞める、ハラスメントや不正があれば相談する、ハラスメントや不正があれば会社を辞める、の3項目ともに「あてはまる」と回答した割合は10代が最も高かった。 米国の若手の離職調査において、企業の利益追求に対する共感が低下していることが指摘されている。 その対応として「パーパス経営」が叫ばれる昨今、社会性の高い企業活動が期待されるなかで、経営姿勢への違和感や不正・ハラスメントなどの職場倫理への疑問が、組織への信頼低下につながりやすいことが確認でき、具体的な行動に出る可能性が高いという点で、人と組織の関係性は変わりつつあると言える。
◆「仕事には我慢が伴うものだ」という意識は変わらない さて、仕事に関する価値観については、意外かもしれないが10代において30代・40代と変わらないか、よりストイックな結果となっている(図表3)。 「仕事には我慢が伴うものだ」は30代・40代と有意な差がない。 「少なくとも若いうちは、辛くても自分が成長できる環境に身を置きたい」「何かを買うために、お金を稼ぐことを頑張れる」については、比較すると10代が高い結果となった。 努力して頑張ろうという気持ちは、現在の30代・40代と比較して決して弱いわけではないのだ。投入した努力量と報酬の関係についてのシビアな見方は「コスパ」という若者言葉にも表れるように現実主義的であるのかもしれない。 また、「学校や職場、家、趣味の場など、場面によって、どのような自分を見せるか使い分けたい」は若いほど高い。 多元的自己論として研究されているが、様々な場で様々な自分のペルソナ(仮面)を使い分けることで幸せに人生をおくっていきたい、という志向と考えられよう。 また、努力や能力が報われることへの価値観(努力・能力応報観と呼ぶ)についても回答を得ているが(図表4)、30代・40代との比較において5%水準で有意な差は見られなかった。 能力と報酬との関係についても同様である。この点について「Z世代」特有の価値観の傾向は観測できない。
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