愛知・街ナカ「マルシェ」でこだわり食材提供 ── 地産地消を呼びかけ
中京工業地帯に位置し、工業生産額で全国1位(平成24年工業統計調査)を誇り、トヨタ自動車に代表されるように、「ものづくり県」として不動の地位を長年維持している愛知県。しかし、農業産出額で全国6位、野菜に限定すると全国4位(平成22年度農林水産省統計による)という農業の盛んな土地でもある。そんな愛知県では、無農薬や有機栽培の農産物生産者や、こだわりの食材を使った手作り菓子やパンの店が出店する、マルシェ(フランス語で市場を意味)が街ナカで開催され、にぎわいを見せている。
生産者と消費者が直接やりとりできる場
名古屋駅前の商業施設「ミッドランドスクエア」では、昨年12月からマルシェが始まった。同施設広報の林さんによると「以前から名古屋駅周辺の活性化を目指したイベントを開催していますが、屋外の公開空地を有効活用しにぎわいを創出するため、マルシェを実施することにしました」という。 マルシェでは、栽培期間中、無農薬・無化学肥料で育てられた農産物や、それらの農産物を使った加工品を生産者が直接会場で販売する。中には珍しい野菜なども並び、食べ方や保存方法などを質問する買い物客と熱心に説明をする出店者の姿も。生産者と消費者が直接やりとりできる場となっている様子だ。 名古屋市内から訪れた40代の主婦は、「試食をしたニンジンが甘くてびっくりしました。葉っぱの試食もあって、とても美味しかったので、レシピを聞いて家でも作ろうと思います」と話した。 出店者は、開催地に近い名古屋市近郊が多いが、中には岐阜県や京都府からの出店もある。出店の意義を聞いてみると、「消費者の欲しいものが何か、リアルに聞けるし、毎回楽しみにして下さるお客様もいらっしゃるので、励みになります。大切に育てた野菜を美味しいと言ってもらえるのが何よりです」
身近な「衣食住」を考えるきっかけになれば
現在名古屋市内など6カ所で開催されている「サロン・ド・マルシェ」で最多の人が訪れるという興正寺(名古屋市昭和区)では、犬用グッズが並ぶ「わんこマルシェ」や料理教室も併催されており、どちらも好評だという。 ミッドランドマルシェなどを主催する、サロン・ド・マルシェ代表の青木さんは、「『未来の子どもたちが安心して暮らすことのできる地球を残そう』というテーマのもとに活動をしています。子育て世代を主に対象としており、身近な「衣食住」を少しずつ考えるきっかけになれば良いと思っていますし、地域の活性化も計れたら良いですね。欠かすことのできない食について家族で話す機会が増えると環境も良くなるのではないかと思っています。無農薬で作られた野菜のおいしさを多くの人に伝えたいです」と語ってくれた。 各地で開催されているマルシェや朝市。一度足を運び生産者の見える野菜を手にし、食について考えてみるのも良いかもしれない。 (編集プロダクション・エディマート)