覚えたての「アップデート」という言葉で同世代をマウント…35歳以下が知らない"情弱・昭和人間"の内部抗争
昭和時代最後の日は1989(昭和64)年1月7日。昭和100年を迎えた今年、この日に生まれた人も36歳を迎えた。会社の多くの管理職やリタイア組、またバブル世代、団塊ジュニア世代、就職氷河期世代も昭和世代だ。コラムニストで『昭和人間のトリセツ』を上梓した石原壮一郎さんは「35歳以下の平成・令和生まれの若い世代にとって昭和人間は“敵”のような存在だろうが、昭和人間自身も日常的にもっともムカついているのが昭和人間だ」という。その厄介な対立の構図とは――。 【この記事の画像を見る】 国と国との関係も、客観的に見ると「似た者同士」のほうが、ぶつかったり深刻な対立に発展したりしがちです。人間も同じ。当事者には身に覚えがあるかと存じますが、昭和人間は昭和人間が嫌いです。どんなところが嫌いなのか。5つの理由を挙げてみました。あえて直視することで、嫌いという厄介な感情を手なずける方法を考えてみましょう。 嫌いな理由その1 ■〈覚えたての「アップデート」という言葉を得意気に使いたがる〉 世の中の価値観や常識は、昭和の頃に比べて大きく変わりました。自分に染みついた感覚も修正し続けなければなりません。それはそうなのですが、昭和人間の中には、上手に「はやりの考え方」に順応して、同年代の昭和人間を見下したがる人が少なからずいます。そういう人が使いがちなのが「アップデート」という言葉。なんせはやりに乗っかっているだけなので、どうしてアップデートが必要なのかはよくわかっていません。 そういう人が、話題の出来事などにからめて「やっぱり意識をアップデートしないとね」なんて言い出したら、心の中で「まずは、新しめの言葉を使って何かを言った気になっているお前の旧態依然とした了見をアップデートしろよ」と呟きましょう。口に出して言っても、本人はきっと何を言われているのか理解できません。さらに「ま、こいつもケナゲに背伸びしているんだな」と思えば、大らかな気持ちで聞き流せそうです。 嫌いな理由その2 ■〈時代に恵まれただけのくせに「過去の栄光」を自慢してくる〉 人は誰しも年齢を重ねると、過去を美化しがち。たまたま時代や環境や運に恵まれただけなのに、過去の成功体験を「自分の手柄」として語る傾向もあります。そのみっともなさに関しては、昭和人間内での年代の違いは関係ありません。いっぽうで、40代50代の昭和人間が、60代70代の昭和人間に向けて根深く抱いている嫌悪感もあります。 「バブル時代」を過ごした(横目で見てきた)年上世代は、世の中も人生も「まあ、どうにかなる」と楽観的に考えてきました。「就職氷河期」などを経験して、世の中も人生も「甘くはない」と悲観的にとらえ続けてきた年下世代は、年上世代の能天気さに反発を覚えずにはいられません。 華やかな時代の武勇伝を語られても、鼻白むばかりです。年上世代としては、そんな見られ方を多少は意識したいところ。年下世代は、年上世代が過去の自慢話を始めたら、「また都合よく盛ってる」と心の中で苦笑いしながら適当に相づちを打っておきましょう。