いまや庶民はデフォルトに?「ミニマル生活」というワードが使えなくなってきたワケ
ある生活情報誌編集者は「『ミニマル生活』って言葉、使わなくなりましたねえ。物価高もあって、そもそも必要最低限の物しか買えなくなりましたし」と苦笑する。 やす子は学校の水道水を自宅の家事に…ビンボー学生「昭和と令和」の決定的な違い 生活経済ジャーナリストの柏木理佳氏も、こう口を揃える。 「わが家でも家計の足しにしようと“着ない服”とか不要な物はメルカリやリサイクルショップで売って、どんどん減らしました。不要不急な家電製品なども買い控えています。節約せざるを得なくなって、自然と、可能な限り少ない物しか置かないミニマリストになっていたんです」 今やそれが当たり前すぎて、わざわざ「ミニマル生活」と言う必要がないんだとか。 ■これ以上削りようがない スナック菓子の「うまい棒」が10月出荷分から1本12円→15円に値上げのニュースが話題になっていたが、「最近は節約テクみたいな特集は組みづらくなってきました。だって皆さん、もうこれ以上は削りようがないぐらい節約しているのに、物価は上がる一方。どんなテクも今さら感が出てしまうんです」(前出の生活情報誌編集者)。 先日、こんなXのポストがバズっていた。 〈家賃2.8万の家に住んでいる友達「平日なんか家にいる時間のほとんどは寝ているだけ。意識がない状態で過ごすところにお金かけるの意味分からん。家賃100万でも家賃2.8万でも寝る時はただ狭いスペースで意識ないだけ」という謎の思想を持っているの最強で面白い〉 物件情報サイトSUUMO関東版によると、都内のワンルームの家賃相場は「港区」が10.9万円。3.7万円の「八王子市」に引っ越せば月々7.2万円も節約できる計算に……なんて単純な話ではなさそうだ。 「そもそも都心暮らしは食べるので精いっぱい。引っ越し費用が出せない人もいる。東京近郊の実家に戻る人もいますが、終電に間に合わなかったり、都心に出る交通費もバカになりません。結局キャリアを諦めて、収入減も覚悟で実家近くで仕事を探すなんて話は、よく耳にします」(前出の柏木理佳氏) 関東在住の30代シングルマザーがこう漏らす。 「行政とかボランティア団体が近所の公民館みたいなところで、低所得者やシングルマザーなど生活困窮者向けに水とか食料を配布してくれたりするんですけど、配ってくれる人が、子供の友達のお母さんだったりするんです。さすがに受け取りづらいです」 もはや庶民は「ミニマル生活」以下が当たり前になりつつある?