<下剋上で頂へ―’24センバツ・中央学院>第4部・つながる/下 良い変化、裏方で実感 勝利へ闘志、背番号なくとも /千葉
対外試合が2日に解禁され、中央学院もセンバツに向けて久しぶりの練習試合に臨んだ。グラウンドのベンチに座り、黙々と机に向かっていたのは、主務の生駒陽(2年)だ。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 遠征での道具管理やノックの球出しをこなすほか、1人ではできない仕事は部員に役割分担を示すなど、裏方を手抜かりなくこなす。「任された仕事はチームのためにしっかりとしてくれる。チームワークの面で生駒の存在は大きい」と相馬幸樹監督からの信頼も厚い。 裏方の仕事をするようになったきっかけは昨夏のことだ。新チームが発足して最初の練習前のミーティングで、相馬監督が主将や副主将を発表した。同時に、主務の候補に生駒の名前を挙げた。 自分の練習に集中して「背番号を目指したい」思いはあったが、「誰かがやらないとチームは回らない」と、練習の傍ら、雑務も完璧にこなすことを意識した。秋の県大会予選は「背番号16」でベンチ入りしたが、その後、正式に主務になった。 「監督や部長の考えを発信していくのが主将や主務」。自身の役割を強く自覚した出来事があったという。 ほとんどの部員が寮生活で朝食時間は決まっているが、秋の関東大会後のある日、食事の時間にきちんと集まらないことがあった。それを目撃していた指導者の1人から「守っていない人を注意しないと。主務や主将が監督や部長の一番の理解者でなければいけない」と指摘された。 マイペースで自己主張の強い部員たちを、主将の中村研心(同)はプレーでまとめている。では自分は? 「指導者に言われないようにこうしようではなく、チームを良くするためにはどうしたらいいのかを考えるようになりました」。生駒は生活面を口酸っぱく指摘するようにしていった。 そんな中、2月にあった沖縄県石垣市での合宿後には、チームの良い変化を感じた。ごみの片付けは主務の仕事の一つだが、弁当の容器などの分別が以前よりきちんとされていることを見つけた。「甲子園に向けて一人一人の自覚が芽生えてきた」と実感した。 センバツでは記録員としてベンチに入る。チームは強豪校と対戦していくが、生駒は「楽しみ」と笑みを浮かべる。接戦になればチームは盛り上がり、その雰囲気が好きだからだ。夢の舞台を前に「時間には特に注意し、元気よく声を出していきたい」と闘志を燃やしている。【林帆南】