「iDeCoは万能」と思う人が勘違いしているかもしれない7つのこと。国民年金が免除されたら掛金はどうなる?
老後資金の準備を目的に「iDeCo」を活用している人は多いと思います。 iDeCoには税制面において多くのメリットがあり、長期の資産形成に適した制度と言えるでしょう。 ◆【一覧表】iDeCoの加入者数は増加傾向に。どれだけの人が始めている? iDeCoの公式サイトによると、加入者は2024年6月末時点で337万1757人。開始当初から上昇傾向が続いています。 しかし、そんなiDeCoも決して「万能」ではありません。デメリットや注意点を理解した上で運用しないと、後悔してしまう可能性があります。 そこで今回は、「iDeCoは万能」と思う人が勘違いしているかもしれない7つのことを解説します。 すでにiDeCoで運用している人だけではなく、これから始めようと考えている人もぜひ参考にしてください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
そもそもiDeCoとは?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は日本における私的年金制度の一つで、公的年金に上乗せする形で利用される制度です。 毎月一定の金額を積み立て、その積立金を投資信託などで運用し、運用成果に応じた金額を老後に受け取れます。 iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となり、運用益は非課税となります。また、老後に掛金を受け取る際には税制上の優遇措置が受けられる点も特徴です。 iDeCoは税制面でのメリットが多く、長期的な資産形成に向いている制度のため、「万能」だと思っている人もいるのではないでしょうか。 しかし、意外と勘違いされやすいポイントがいくつかあるので、次章にて確認しましょう。
「iDeCoは万能」と思う人が勘違いしているかもしれない7つのこと
iDeCoについて勘違いしているかもしれないポイントを以下にまとまめます。 既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、確認のためにおさらいしておきましょう。 ●iDeCoは運用成績が保証されていると思っている iDeCoはあくまで自己責任で運用するものであり、運用成績は保証されていません。 市場の変動や選択した投資商品のパフォーマンスによっては、元本割れのリスクも存在します。 iDeCoを始める前にリスクについて十分に理解し、慎重に商品選択を行うことが大切です。 なお、iDeCoでは「元本確保型商品(保険や定期預金)」を選択できるので、リスクを許容できない人はそういった商品を選ぶのも1つです。 ●iDeCoは税制優遇が無制限に受けられると思っている iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となりますが、年間の掛金には上限が設定されています。 掛金の上限は職業などによって異なり、上限を超えた拠出はできません。 また、掛金の受取時にも税制優遇を受けられますが、全額が控除されるわけではありません。 一時金として受け取る場合と年金として受け取る場合とでは、税制優遇の内容が異なります。 ●誰でも65歳までiDeCoに加入できると思っている 以前までは60歳未満の方しかiDeCoに加入できませんでしたが、2022年5月の法改正により、65歳まで加入できるようになりました。 しかし、誰でも65歳まで加入できるわけではありません。 iDeCoに加入するための要件として、国民年金の保険料を支払っている「国民年金被保険者」であることが求められます。 具体的には、65歳未満の会社員や公務員などが対象となり、厚生年金保険料を支払っている人、およびそれ以外の働き方や無職で国民年金に任意加入している人が該当します。 また、iDeCoに加入するには、公的年金の繰上げ受給をしておらず、iDeCoの資金を一切受け取っていないことが条件となります。 ●iDeCoでは途中で自由に資金を引き出せると思っている iDeCoの掛金は、原則として60歳まで引き出すことができません。 途中で換金できるケースとしては、加入者が高度障害を負った場合や死亡した場合などに限られます。 急な出費や生活費のために途中で引き出すことができないため、生活資金とは別の余裕資金で運用することが重要です。 ●転職時に手続きが不要だと思っている iDeCoは転職時の手続きが不要だと思われがちですが、実際には勤務先情報の変更手続きが必要です。 iDeCoの拠出限度額は働き方や勤務先の企業年金制度によって異なるため、現在の積立額が適切であるかどうかを確認する必要があります。 そのため、勤務先が変わった際には、たとえ拠出限度額が変更されない場合でも、契約先の金融機関に連絡して必ず登録変更手続きを行いましょう。 ●iDeCoは確定申告が不要だと思っている 会社員であれば年末調整で控除を受けることができますが、フリーランスや自営業者などの場合は確定申告を行う必要があります。 また、iDeCoで運用したお金を受け取る際にも、確定申告が必要となるケースがあります。 給付金の受け取りは「一時金」か「年金」かによって所得の種類が異なり、他の所得との合計金額が一定水準を超える場合は確定申告が必要です。 なお、一時金として受け取る場合には「退職所得控除」が、年金形式で受け取る場合には「公的年金等控除」が適用されます。 ●国民年金が免除されたら掛金が還付されると思っている 国民年金保険料の免除が受理されると、その時点でiDeCoの加入資格が失われます。 ただし、iDeCoの加入資格が失われても、原則として掛金が還付されることはありません。 資格喪失後は掛金を拠出しない「運用指図者」として運用を継続し、原則として60歳以降に受け取ることになります。