「バスで10時間」在外投票の壁 実現できるか!? ネット投票【WBSクロス】
WBSクロス、今回のテーマは「ネット投票」です。実現すれば投票率の向上につながると期待されながらも、なかなか実現しないのがパソコンやスマートフォンを通じて投票するインターネット投票です。その導入を望む有権者と、実験的な取り組みを取材しました。 先月27日に投開票された衆議院議員選挙。その期間中、東京・霞が関の外務省の一室にある書類の束が運び込まれてきました。海外に住んでいる有権者による在外投票です。 封筒には、世界各国で押された印が。今回の衆院選では146カ国231カ所に投票所が設置されました。世界中で投じられた票は外務省職員の手によって日本まで運ばれ、約1万7000票が集められました。こうした在外投票には一度におよそ3億円の費用がかかっています。 ケニアで青年海外協力隊として働く原武和琴さんも海外から投票した1人。その投票所までの道のりは? 「私の住んでいるところから300キロ以上離れている。バスを乗り継いで10時間くらいかけて行く」(原武さん) 日本の1.5倍の国土を持つケニアですが、投票所は首都ナイロビの1カ所のみ。原武さんは今回、飛行機やバスを使って投票に行ったといいます。 「投票は絶対するもの。自分の暮らしや人生に関わることなので、日本にいる時も時間もお金もかかるけど、行かなきゃいけないと思って行った」(原武さん)
投票までの道のりが困難な人は日本にもいます。茨城・つくば市に住む山本信男さんは車いすで生活を送っています。 「お尻が痛くなってくるとベッドで横になったりするけれど、それ以外はずっと座っている」(山本信男さん) 衆院選では投票所に行くことが難しい人は郵便投票の制度が利用できます。しかし「要介護度5」の人など極めて介護度が高い人が対象で、山本さんは当てはまりません。この日は妻の運転で期日前投票に。車からの乗り降りや移動を妻に助けられ、1票を投じることができました。 「乗せてもらって降ろしてもらって移動してだから。僕はただ黙ってじっとするだけで済むが、妻は大変だと思う。(次も選挙に行くか)ちょっと考える。体調と妻に用事があれば行けない」(山本さん) 一般的に投票率は年齢を増すごとに高くなる傾向がありますが、実は80歳を超えると急落します。健康状態の悪化がその理由とみられ、高齢化が進む自治体では見過ごせない課題となっています。 「すべてオンラインでできる時代だから、投票もそうしてほしい」(山本さん)