「バスで10時間」在外投票の壁 実現できるか!? ネット投票【WBSクロス】
市民が決める“市長の退職金”
こうした声を受け、つくば市で始まったのが市長の退職金を決めるネット投票です。つくば市の五十嵐立青市長は「退職金という一つの指標を使って実績を作る。その積み重ねが選挙でのネット投票に繋がっていく」と話します。 現在日本の公職選挙法では選挙におけるネット投票は認められていません。国家戦略特区に指定されているつくば市は、先月の市長選挙などでのネット投票導入を目指し、独自にシステムを開発し、実証実験を重ねてきました。しかし総務省から「選挙の公平確保などの観点から課題があり、特区として実験的に行うべきものではない」と反対を受け、実施は見送られました。 「総務省は選挙の根幹に関わることなので、国会の各党各会派の先生に議論をしてほしいと」(五十嵐市長) そこで、市長の退職金を決めるネット投票からスタートしました。今回のつくば市のネット投票の手順はこうです。投票画面に進むと10点刻みで11段階の中から点数を選択します。マイナンバーカードのパスワードを入力し、カードをかざして個人を認証すれば投票完了です。投票結果から平均点を算出し、最低の0点なら22円、満点の100点なら約2000万円が市長に支給されます。 ネットで簡単に投票できる一方で、安全性に懸念はないのでしょうか。開発に携わったIT企業「スパイラル」を訪ねました。 「投票データに関しては暗号化して、データベースに登録している。そのデータをブロックチェーンに書き込むことで改ざん対策を行っている」(「スパイラル」公共DX事業部長の市ノ澤充さん) 中でも重要な機能が「強要の防止というところで上書き投票。投票先の変更を可能にする仕組み」(市ノ澤さん)だといいます。例えば、誰かに投票だけを強要された場合でも、後で1人になったときに再投票することができます。 そして12日、11日間の投票期間を終え、投票の結果が発表されました。投票の人数は合計で1048人。平均点数は62.7点。退職金は1278万7038円に決まりました。 「ただこの事実を受け止めるだけなので、うれしさとか悲しいとかそういう感情は持たない。漠然とした不安感を消していくことが大事だと思う。今後もこういう取り組みを通じて『インターネット投票大丈夫そうだね』と少しずつ思ってもらえるような取り組みにしたい」(五十嵐市長) ※ワールドビジネスサテライト