技術論に口を出す保護者は悪い? 家庭とチームの狭間で――|高校野球の元監督が少年野球の「お父さんコーチ」になってみた
高校野球の元監督が「お父さんコーチ」になって思った、少年野球のあんなことやこんなこと。日々、子ども達と向き合い、奮闘されている指導者の皆さんに向けた、神奈川県立川和高校野球部の元監督、伊豆原真人さんのコラムです。 「あの選手、家で保護者に打ち方について色々言われているんだよね。だから、いつまで経ってもクセが抜けずに上手くならない」 学童チームの指導者からはよくこんな話を聞きます。特にバッティングに多いように感じます。 守備と違ってバッティングは確率の低い事象を議論することになります。 一概には言えませんが、少年野球では打率は良くても4~5割くらい。即ち、良くても2回に1回、普通ならば3回に2回はミスをするため、様々な考え方が存在します。 私はいつも選手に技術を伝える時に、メリット、デメリットを伝えます。 「こうすると低めのボールは見やすくなる。その代わり高めは少し窮屈になるよ」 などなど。 選手からすると保護者は指導者以上に大切な存在。それが当たり前です。 そんな保護者からアドバイスをもらったら子どもからすると実行あるのみです。 しかし、保護者の指導もまた、メリットデメリットがあります。 ですから、頭ごなしにいきなりダメ出しするのではなく、まずは選手本人や保護者から家庭での考え方を聞き出すことからはじめてはいかがでしょうか? さらに、指導者の考え方をキチンと保護者に説明することも大切です。 その上で、選手にとって何が必要かを選択させていくことが良い指導につながると思います。場合によっては保護者の指導を少し取り入れた方が良い場合もあります。私も保護者の意見を参考にしたことがあります。 なんでもかんでも1か0かではなく、上手く融合することで、新たな発見につながることがあります。 これは技術的な話だけではなく、チーム運営にも同じことが言えます。 「チーム指導と家庭との融和」 これからの指導者として求められているスキルではないでしょうか。 【プロフィール】 伊豆原真人。愛知県立瑞陵高校野球部、信州大学野球部で投手としてプレー。大学院卒業後にシステムエンジニアの道へ進むも、28歳で神奈川県教員へ転職。相模大野高校(相模原中等教育学校)監督を経て、2013年から川和高校の野球部監督に就任。2023年からは他校への異動に伴い高校野球の現場を離れた。担当教科は数学。 X(https://twitter.com/izuharabaseball) Instagram(https://www.instagram.com/masatoizuhara/)
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