「夫にゴミ出しすら頼めなかった」長山洋子(56)乳がんを経験してたどり着いた人生の意味「もっとわがままに生きよう」
歌手として40年のキャリアをもつ長山洋子さん。2019年に初期の乳がんが見つかり、 全摘手術を受けました。治療の日々は苦しかったものの、意外なプラスの変化もあったそう。もともと人に甘えたり頼ったりするのが苦手だったのが、病気がきっかけで「いい意味でわがままが言えるようになった」といいます。(全4回中の2回) 【写真】「謝って!(笑)」乳がんを経て夫婦ゲンカの仕方も変わったというアメリカ人の夫と(全21枚)
■人に頼れなかった人生が乳がんで変わった ── 51歳で乳がんを経験されました。病気を通じて、ご自身のなかで気づきや変化はありましたか?
長山さん:病気になって初めて人に頼ることを覚えて、人生が大きく変わりました。もともと私は、人に甘えたり、周りに頼ったりするのが苦手で、なんでもひとりでやってしまうところがあったんです。「これを頼んだら申し訳ないかな」とか「負担に思われないだろうか」と、相手がどう感じるかを考えてためらってしまい、それなら自分でやってしまうほうがラクだなと思っていました。つらい気持ちを打ち明けることも苦手で、いろんなことをため込んでしまっていたんですね。長年のそうした積み重ねが、ストレスの原因になっていたと気づき、「もっと自分を大切にしなければ」と、思うようになりました。
── そうだったのですね。ご自分を大切にしようと思われたきっかけは、なんだったのでしょうか。 長山さん:病気を経験し、自分の人生や命というものと向き合ったときに、これまで無理をして頑張りすぎていたなと、すごく感じたんです。もっと肩の力を抜いてラクにやればよかったのに、それができずにもがいて苦しかった。他人からどう思われるかを気にしすぎて、いろいろと抱え込みすぎていたんですね。心と体を健やかに保つには、まずは、私自身の気持ちを優先することが大事。自分をないがしろにしてはいけないんだなと痛感しました。
そう思ったら、他人の視線がまったく気にならなくなったんですよね。「わがままだな、あいつはと思われたっていいや。だって私がそうしたいだもん!」と吹っきれたんです。誰かに何かをお願いするときも、「ここは甘えよう」といちいち気負わず、自然と頼めるようになりました。