「こんな品種があったのか!」プロも魅了されるクンシランのおもしろさと、未来のガーデンプランツへの期待
場所がなくても、タネをまく。河合さんの実生クンシラン
'ヒラオ'に出会ってクンシランを集めるようになり、今ではクンシランを置くためにハウスを借りて、自分で交配もしています。ハウスの場所にも限りがあるのに、交配をしてタネをまいてまた場所が足りなくなって......を繰り返しています(笑)
私がタネから咲かせたもので、一番気に入っている個体です。 これはクリビア・ノビリスとミニアタの雑種で、ミニアタ側はいわゆる「牡丹咲き*」の個体を交配に使用したので、このような花になりました。不定期咲きの傾向が強く、肥培状況がよいと年2回咲いてくれます。 *クンシランの花弁は本来6枚。6枚よりも弁数の多いものが「八重咲き」とされる。八重咲きには雄しべが花弁に変化したものと、そもそも花弁の数がふえたようなタイプがあり、なかでも特に花弁数が多く子房がない(結実できない)ものがクンシラン愛好家のなかでは「牡丹咲き」と呼ばれている。
これは昨年初めて咲いた「咲き分け」です。見ての通り、1つの花の中に2色あります。こちらは狙って交配したわけではなく、偶然生まれた花です。今年の春もこのようになるかはわかりませんが、楽しみにしています。 こういうおもしろい花が出てくるので、交配をやめられません(笑)
クンシランがガーデンに!?
じつは、『趣味の園芸』4月号p.144で紹介したデンドロビウムのように、横浜イングリッシュガーデン(YEG)ではクンシランも植栽しています。 以前、横浜で冬でも戸外で栽培されているクンシランを見かけ、YEGでも植えてみました。冬を乗り越えて、毎年咲いていますよ。先ほどの写真の株ではありませんが'ヒラオ'も植えています。 クンシランはもともと日陰と乾燥に強い植物です。最近は冬も暖かいので、地域によっては「乾燥した日陰」での植栽に今後利用できるかもしれません。日陰というと、湿っているイメージがあるかもしれませんが、意外と「乾燥した日陰」も少なくありません。 「乾燥した日陰」の典型的な例が、繁茂した常緑樹の下です。YEGでも、クスノキの大木の下に植えています。こういう場所は霜やちょっとした積雪の影響を受けにくく、それもクンシランにはよいですね。 「庭に植えられる植物だけ」というルールは守れている、といってもよいでしょう(笑)