ITマニアにはお馴染みの「スナドラ」! いまクルマでも必要不可欠な存在になっていた
IT業界で培ったICチップの技術を自動車業界でも生かす
「スナップドラゴン」という名称、IT関連に詳しい人なら聞き慣れていると思うが、クルマのユーザーのなかには初めて聞いたという人がいるかもしれない。「スナップドラゴン」とは、SoC(システム・オン・チップ)の部類に属する商品の名称のひとつ。 【写真】トヨタ社がヒットを続ける理由はインテリアにあり!? 新車装備の要「ディスプレイオーディオ」とは SoCは半導体を含めた素子などが集約した小さな基盤の一種だ。SoCに注目が集まるようになったのは、やはりスマートフォンの影響が大きいといえる。 2000年代に入って、携帯電話の世界は大きな変革を迎えた。そのなかでスマートフォンが登場する。画面の表示、動作速度、豊富なアプリなど、スマートフォンは多くの人の日常生活を大きく変えるほどのインパクトがあった。 そんなスマートフォンの領域には、さまざまなプレイヤーが存在したが、結果的には大きくふたつの流れが生まれた。ひとつはアップルのiPhone。そしてもうひとつが、グーグル(親会社はアルファベット)を中心にオープンソースとして普及が進んだアンドロイドOSを活用するものだ。 後者のなかで、韓国サムスンと早期に手を組んだのがアメリカのクアルコムだ。それまでも、クアルコムはIT産業界では知られた存在であったが、サムスンとの連携によって事業は急拡大し、一般的にもクアルコムの名前が徐々に知られるようになっていく。 あわせて、クアルコム側も積極的な広報活動をするようになった。たとえば、毎年1月にアメリカ・ネバダ州ラスベガスで開催されるIT・家電等の世界最大級の見本市「CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)」でもクアルコムの存在感が大きくなっていった。 手がける商品(事業)の中心的な存在が、スナップドラゴンである。 ひとことでスナップドラゴンといっても、世代が進めばその性能が進化するのは当然であり、さまざまなシーンで利活用が可能であるため、CESなどでは具体例で見える化する工夫を施している。筆者もこれまで、CESを含む各地でクアルコムからスナップドラゴンの機能について詳しい説明を受けている。 そうしたなかで、近年注目が集まっているのが、スナップドラゴンとクルマとの関係強化だ。ADAS(先進的ドライバー支援システム)、自動運転、コネクテッド機能などを総括的に考える、SDV(ソフトウェア・デファインド・ヴィークル)という発想が、自動車産業界に広がっているからだ。 スナップドラゴンは世界の自動車メーカーで数多く採用されている。今後はますます自動車ユーザーが「スナップドラゴン」という名前を聞く機会が増えそうだ。
桃田健史