【広島】新井貴浩監督、現在11試合で無得点の打線も「予定通り」 「最初からボコボコ打てるわけない」20歳侍の不振降格も想定内
広島の新井貴浩監督(47)が16日、ここまでの戦いを「1シーズンを通してのプランは予定通りに来ているかな」と振り返った。15日のヤクルト戦(松山)では、ルーキー・松本健にプロ初登板で史上初の2ケタ奪三振、無四球での完封という屈辱を味わった。34試合終了時点で8度の完封負けはリーグワースト。3度の0―0引き分けを含めれば、ほぼ3分の1の11試合が無得点という貧打は深刻。それでも「予定通り」という指揮官の“真意”に迫る。 屈辱的な完封負けを喫した翌日、荒波に揺られた高速船で広島に戻った新井監督に悲壮感はなかった。無得点試合を11度も数えながら「予定通り」という言葉は、強がりにも聞こえる。そんな周囲の感情をくみ取った上で「キャンプのときから、ずっと言ってきたでしょ?」と、平然と言った。 開幕前から「特に野手は時間がかかるから」と若手の苦悩は覚悟していた。「若手の出番が多くなるんじゃないかなと言っていたし、皆さんは、侍に選ばれて『田村~!』って期待していたと思うけど、最初からボコボコ打てるわけない」。開幕前、誰もが覚醒を確信しながら8日に打撃不振で2軍降格した20歳ら若手の現状は想定内という。 まだ109試合も残る序盤だからこそ、ドシッと腰を据える。「数か月後に力をつけたなという選手が出てきてくれたら、だんだん輪郭が出てくると思う」。開幕4番を務めた堂林に代わって13日から1軍昇格した林や今季プロ初スタメンでプロ1号を放った二俣、左膝故障から復帰した末包や中村健、宇草ら20代半ば組も、その候補。今は先を見据えて種をまいている段階だ。 得点力不足だからといって、安直に攻撃重視のオーダーを組まないのも“新井流”。最近は矢野を遊撃で固定する試合が目立つ。粘り強さがあるとはいえ、打率2割1分7厘と低調。だが、それを補うリーグ屈指の守備力がある。「今は投手が頑張って、バックもしっかり守っている。ロースコアを拾っていくうちに、若い選手が力をつけてくれたら」と、思い描く。 中軸を担うべき坂倉が打率1割7分2厘に低迷するなど、12球団最少89得点と打線がどん底にありながら勝率5割の3位。「使うのは、私。全て監督の責任なんだから、思い切ってやってくれたらいいし、誰が出てくるのか楽しみ」。指揮官の胸には、期待しかない。(広島担当・畑中 祐司)
報知新聞社