緊急登板の田渕大賀キャディが松山英樹の10勝目サポート 父は渋野日向子らの恩師
◇米国男子プレーオフ第1戦◇フェデックスセントジュード選手権 最終日(18日)◇TPCサウスウィンド(テネシー州)◇7243yd(パー70) 【画像】再逆転を決める会心バーディにガッツポーズ! 渡米前の緊張感は最後まで続いた。「パリ五輪」後の英国ロンドンで窃盗被害にあった早藤将太キャディのピンチヒッターとして、松山英樹をサポートした田渕大賀(たぶち・たいが)キャディ。PGAツアー10勝目を支える大役を務めあげ、「自分は結構頼りないんですけど、連れてきてもらって優勝してもらって本当にありがたいです」と謙虚に喜んだ。 ピンチヒッターを頼まれたのは今大会の前週。「連絡をいただいてから、全然眠れません…」とドキドキが止まらなかった。渋野日向子らを輩出した岡山・作陽高(現作陽学園高)ゴルフ部の田渕潔監督の一人息子。松山からは2学年下、早藤キャディと同い年で、ともに高知・明徳義塾中高出身の2人とは、学生時代に同じ試合でもプレーしたことがあった。
卒業後は米国の大学に進み、ことしは春先に高校の後輩でもある久常涼のバッグを担いだ。今回の緊急オファーはすぐに快諾。寝食を共にする“チーム”に加わり、練習日から名手のプレーぶり、コース攻略を間近で勉強した。 5打差の単独首位で迎えた最終日は後半、松山が突如崩れて15番終了時には1打ビハインドの展開に。「なるべく変わらないように…と思っていたんですけど、変わったかもしれない」と田渕キャディも動揺を抑えるのに必死だった。
土俵際で踏みとどまり、上がり2ホールで見せた松山の逆転劇には感嘆するばかり。「やっぱりレベルが違うなと思いました。ショット力、トラブルの回避力…。松山さんはここで10年以上やられている。経験がすごく豊富なので、その点で他の人とは技術以上に差があるなと思います」と脱帽した。 次週の「BMW選手権」(コロラド州キャッスルパインズGC)ではパスポート、ビザが発給された早藤キャディにバトンタッチ。かけがえのない1試合になった。(テネシー州メンフィス/桂川洋一)