いまだ忖度?日本連盟辞めた山根元会長の取材自粛を公式HPに掲載する違和感
「マスコミの多くは山根元会長の辞任に関連し、日本連盟理事及び関西ボクシング連盟理事にも色々と取材攻勢をかけ、取材要求をしています。国民に対し、情報提供するというマスコミの意味は、理解はしていますが、このことによりUJ大会に参加する選手達が上記取材の状況に動揺し、競技に集中できなくなることが大変心配です」との理由で、選手ではなく、「UJ大会期間中は大会会場において、日本連盟や関西連盟の理事らに対する取材は厳に控えるよう要求します」というものだった。 山根元会長への取材自粛は「要請」で、こちらは「要求」。辞書を調べると「要請」は相手の許可、承認を必要とするもので、「要求」は、それらが不必要な高圧的なものとなっており、山根元会長への取材よりもUJ大会での取材に拒否反応が強いことがわかる。 ただ「選手が競技に集中できなくなることが心配」と書きながら取材自粛を要求したのは、選手ではなく日本連盟、関西連盟の理事。おそらく山根元会長が居座るつもりの関西連盟会長職についての質問を恐れての“山根防衛”“組織防衛”としての取材自粛要求である。 組織のガバナンスが機能しているならば、本来HP上に掲載すべき告知は、来場が噂されている山根元会長の出入り禁止だろう。先のインターハイでは、山根元会長が、反社会的勢力との交友を認めたと同時に高体連が、出入り禁止を通達した。アンダージュニア大会は、小中学生が集まる15歳以下の大会である。高校生の大会であるインターハイ以上に、親御さんたちは、反社会的勢力との問題が明るみに出た以上、不安が大きいだろう。選手が動揺しているのは、マスコミではなく、むしろ、その点なのだ。 日本連盟が、大会参加者の不安を解消するためにすべきことは、マスコミへの取材自粛要求ではなく、山根元会長の来場禁止を決め、それを告知することである。先の再興する会の関係者が「ほかに告知すべきことがあるのでは」と皮肉ったのは、おそらくこういうことなのだ。今なお山根元会長に忖度して、組織を守ろうとしている日本連盟には、今回の告発によって何が問題とされ、そして、山根元会長が、なぜ緊急辞任せざるを得なかったのか、の本質が、わかっていないようである。 この感覚のズレが、独裁政権を生み出したのかもしれないが、今でも山根元会長の方向を向いている理事たちは、ある意味、恐怖だ。日本連盟は秋の国体まで現体制のまま運営を行うことを表明しているが、一刻も早く、臨時総会を開き総退陣させ新理事で再出発を図らなければ、とんでもない事態に発展しそうである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)