【独占】「豊洲 千客万来」オープンまでの舞台裏。大人気!海鮮バイキングも…変わる!築地と豊洲
2024年1月9日。帝国ホテルでお客の世話をするコンシェルジュたちが、浅田さんの店を訪れた。「僕たちは、中に居過ぎて外から見る目を失っているので、ぜひ教えていただきたい」と浅田さん。この日は、コンシェルジュたちがツアーの内容を検討してくれることになったのだ。日本で貿易会社を経営するエクアドル人のフレディさんも、外国人の目線でツアーを体験してくれることに。 鰹節問屋の「秋山商店」や、創業100年近い老舗「近江屋牛肉店」を巡り、店主からおいしい食べ方などのレクチャーを受ける。 「プロとして、いつ食べるのか、何で食べるのかをちゃんと聞いて対応する…築地が一番やるべきことだと思う」(「近江屋牛肉店」寺出昌弘社長)。 早ければ2月中旬から開催する予定だが、果たして公式ツアーの内容は、コンシェルジュたちの目にどう映ったのか。
豊洲市場に新名所が誕生? “海鮮バイキング”を救う謎の料理人
2月1日にオープンした「豊洲 千客万来」。江戸の街並みを再現したという商業施設だが、当初の計画から5年遅れて開業した。箱根や湯河原から運んできた温泉が楽しめる施設を併設。屋上には、湾岸エリアを一望できる足湯もある。
東京都から事業を受託したのは、全国で10カ所の温浴施設を手がける「万葉倶楽部」だ。元々、築地市場を豊洲に移転する際、築地場外市場の店も「千客万来」に移す予定だった。ところが、開業が大幅に遅れたことで、テナントの誘致に大苦戦していたのだ。
「魚河岸の文化を受け継ぐ店になるべく入ってほしい…」。プロジェクトの責任者である「万葉倶楽部」の高橋眞己副社長は、玉子焼きの名店「丸武」など、築地の有名店と出店交渉を重ねる。
その頃、「豊洲 千客万来」では、施設最大となる飲食店の工事が進んでいた。大手の旅行会社「エイチ・アイ・エス」が出店する「海鮮バイキング いろは」は、豊洲市場からその日仕入れた魚をその場でおろし、バイキング形式で提供するスタイル。座席数は130で、団体ツアー客も受け入られる大型店だ。 プロジェクトを指揮する「エイチ・アイ・エス」飲食事業の相磯亮さん(40)は、コロナ前まで、旅行事業の営業所16店舗を総括する立場だったが、「旅行事業から出て、新しいことにチャレンジしたい」と自ら希望し、未経験の飲食事業に飛び込んだ。